3D Systemsとスワニーが協業、大型部品の量産と製造環境の変革を目指す:3Dプリンタニュース
3D Systemsとスワニーは、日本国内でのペレット押し出し方式大型3Dプリンティングの普及に向けて協業を開始した。
3D Systems(スリーディー・システムズ)とスワニーは2023年6月19日、日本国内におけるペレット押し出し方式大型3Dプリンティングの普及に向けて協業を開始したことを発表した。
スワニーが同年10月に開設を予定する新たなデモセンター(長野県伊那市)に3D Systemsの「EXT 1070 Titan Pellet プリンタ」を導入し、両社で大型部品の積層型および切削型の製造能力を実証する。さらに、スワニーはその成果を基に、デモセンターを起点とした設計サポートを含む3Dプリンティングサービスを国内を含むアジア太平洋地域で展開し、さまざまなアプリケーション向けの試作や量産を支援するという。
これらの方針に加えて、両社はお互いが保有するアプリケーションとテクノロジーに関する専門知識を融合し、さまざまな一般量産ペレットおよびリサイクルペレット材料の使用を可能にするプリントパラメーターを共同開発し、サステナブルなモノづくりの実現に貢献することを狙う。
スワニーは、地域の社会福祉協議会や企業と共同でサステナブルなモノづくりの実現を可能とするフレームワーク「アップサイクリング・ワークスペース(UCWS)」の活動を推進しており、その取り組みの一環としてリサイクルペレットの使用を含むプリントパラメーターの開発を目指す。
3D Systemsの「EXT Titan Pellet プリンタ」シリーズは、ペレット化された材料を使用することで、従来のフィラメントベースの3Dプリンタと比べて材料コストを最大10倍削減でき、幅広い機能性材料にも対応可能だとする。さらに、独自のツールヘッドオプションも用意しており、デュアルペレット押し出しヘッドだけでなく、フィラメント押し出しヘッドや、プリント中やプリント後に高精度な表面仕上げを可能にするCNC切削スピンドルツールヘッドも取り付けられる。
なお、スワニーが導入するEXT 1070 Titan Pellet プリンタには、ペレット押し出しヘッドとCNC切削スピンドルツールヘッドが装備されており、顧客向けの大型部品(大型治工具、各種成形用の型、バッチ生産、機能試作モデルなど)を製造レベルの精度、表面品質、再現性で効率的に生産できるという。
今回の協業について、スワニー 代表取締役 CEOの橋爪良博氏は「これまで顧客向けに大型樹脂部品を製造する場合、金型製造にかかる時間とコストが大きな負担となり、常に課題となっていた。EXT 1070 Titan Pellet プリンタはこの課題を克服できる唯一のツールだ。両社の協業により、日本国内の大型部品の量産および製造環境に大きな変革をもたらすと確信している」(プレスリリースより抜粋)と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 廃プラをアップサイクルして製品化する取り組みを開始
スワニーとミヨオーガニックは、持続可能なモノづくりを支援する「アップサイクリング・ワークスペース」を開始した。廃棄プラスチックをアップサイクルし、新たな価値を持つ製品として生まれ変わらせる。 - 日産ら6者が伊那市で飲料キャップをアップサイクルする市民参加型プロジェクト始動
伊那市、伊那市社会福祉協議会、ミヨオーガニック、スワニー、ノエックス、日産の6者は、廃棄されたペットボトルキャップから作られた再生プラスチック材を活用してモデルカーを製作する市民参加型プロジェクト「NISSAN エコキャップ アップサイクル プロジェクト in 伊那」を開始した。 - 金属3Dプリント金型と射出成形技術で中量生産ニーズに応える新サービスを展開
スワニーは、超精密部品製造に精通する岡谷精密工業と連携し、金属3Dプリンタで製造する金型「アディディブモールド」を開発。2022年11月から、高精度樹脂部品成形を短期間で実現できる金型製造/部品生産サービスの提供開始を開始する。 - ドローンショー向け国産ドローン100機が伊那スタジアムでテストフライト
スワニーは、ベンチャー企業のドローンショーと共同で開発/生産を行うドローンショー向け国産ドローン「unika」のテストフライトを、2022年10月28日に伊那スタジアム(長野県伊那市)で実施すると発表した。 - 3Dプリンタで量産ニーズに応えるスワニー、実現のカギは生産技術との融合
スワニーは「日本ものづくりワールド 2022」(リアル展、東京ビッグサイト、2022年6月22〜24日)内の「第5回 次世代3Dプリンタ展」に出展したCarbon(JSR)のブース内にて、同年6月22日に発表した「製造業向け金型レス部品量産サービス」に関する展示を行っていた。 - 設計者自ら試作品を生産できる「デザインファクトリー」のデモ環境が都内に
丸紅情報システムズ(MSYS)は、スワニーが提唱するデザイナーや設計者が一気通貫で試作品を生産できるシステム「デザインファクトリー」のデモ環境を、スワニーの東京モデリングセンター(浜野製作所内)に整備したことを発表した。