設計者自ら試作品を生産できる「デザインファクトリー」のデモ環境が都内に:メカ設計ニュース
丸紅情報システムズ(MSYS)は、スワニーが提唱するデザイナーや設計者が一気通貫で試作品を生産できるシステム「デザインファクトリー」のデモ環境を、スワニーの東京モデリングセンター(浜野製作所内)に整備したことを発表した。
丸紅情報システムズ(以下、MSYS)は2021年8月31日、スワニーが提唱するデザイナーや設計者が一気通貫で試作品を生産できるシステム「デザインファクトリー」のデモ環境を、スワニーの東京モデリングセンター(浜野製作所内/東京都墨田区)に整備したことを発表した。
デザインファクトリーとは、“デザイナーがいるファクトリー”をコンセプトに、限られた社内スペースで、コンパクトなシステムで、樹脂部品の設計から試作、生産までを設計者自ら行うことができる社内ラボの構築を支援するもの。製造業向けのハイエンド3Dプリンタ、デジタルモールド(※1)による部品成形、簡易アルミ型による射出成形を組み合わせることで、設計、試作、少量生産を、短期間のうちに繰り返し実現できる。
※1:デジタルモールドとは、ストラタシスのPolyJet方式3Dプリンタで造形した樹脂製の型(樹脂型)を用いた成形技術のことで、スワニーが考案した。樹脂型の材料は、ストラタシスのデジタルABSが使用され、熱可塑性樹脂を射出成形できる。
射出成形を活用することによって、ABS、PS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)といった熱可塑性樹脂材料が使用可能となるため、3Dプリンタでは実現できなかった最終製品と同じ素材を使用した製品検証も行える。デザインファクトリーの標準パッケージでは、6t(トン)仕様(射出量9cc)と10t仕様(射出量25cc)の射出成形機を提案する。不測の事態が生じた際、デザインデータがあればサプライチェーンからの供給部品と同じ素材を使用して、射出成形機で部品を代替製造することもできる。
また、デザインファクトリーのシステムはデザイナーや設計者が単独で操作できるため、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染防止対策として、従業員同士の接触機会を減らしながら、エンジニア人材の育成、新材料開発試作、難易度部品開発、新構造アイデアの検証などに挑戦できる。
従来、長野県に拠点を構えるスワニーでデモを実施する必要があったデザインファクトリーについて、今回、MSYSがスワニーの東京モデリングセンターに常設デモ環境を整備したことで、都内でデザインファクトリーのデモを体験できるようになった。MSYSは、3Dプリンタの販売で長年培ってきたノウハウを生かしながら、同デモ環境を活用して、デザインファクトリーの可能性を広げていくとしている。
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