自動倉庫やAGVなど最新物流機器が見学可、ダイフクが総合展示場を大規模刷新:物流のスマート化(2/2 ページ)
ダイフクは2022年5月19日、同社の滋賀事業所にあるマテリアルハンドリングやロジスティクス機器の体験型総合展示場「日に新た館」を同年6月1日からリニューアルオープンすると発表した。自動倉庫やAGVなど同社が開発、製造した最新の物流関連機器を中心に、デモ展示を見学できる。
自動車生産ラインや一般製造業向け機器を展示
1階には自動車生産ライン向けシステムに加えて、機械や食品、化学分野の製造業や流通業などのイントラロジスティクス分野向けシステムが展示されている。
自動車生産ライン向けシステムでは、自動車の組み立てラインシステムを再現しており、チェーンコンベヤー「Ramrun」や自動車用途コンベヤーシステム「FDS」などを展示する。RamrunとFDSがタイミングを合わせて協調し、ネジ締めだけ人間が担当する様子などが見学できる。この他、協働ロボットも設置している。
イントラロジスティクス分野向けシステムでは超高密度パレット自動倉庫「シャトルラックD3」や、混載パレットに対応可能なシステムを搭載したパレタイズロボット、高速仕分け台車「ソーティング・トランスファー・ビークル(STV)」など、倉庫内物流業務を高速化、自動化する機器を展示する。下代氏は「まだ日に新た館には設置していないが、現在開発の小型タイプのAGVもそのうち披露したい」と語った。
この他、ケース保管に対応する立体自動倉庫「ファインストッカー」や、パレット搬送用の「STR-L」などAGVの稼働デモも見学できる。これらに加えてファーストリテイリングが導入したRFIDを用いた自動検品システムの体験も可能だ。
半導体のウェハー搬送/保管システムも展示
2階には、空港の手荷物検査場などで用いられる搬送システムや、半導体/液晶生産ライン向けシステムなどが展示されている。
空港の手荷物検査場などで用いられる搬送システムとしては、手荷物搬送システムや手荷物状態検査機、自動手荷物検査機「MIT(モバイルインスペクションテーブル)」とAGVを組み合わせたシステムなどがある。半導体・液晶生産ライン向けシステムとしては、クリーンルーム向けのウェハー搬送/保管システムなどを展示した。付近にあるシアターでは、同システムを大規模導入した際のイメージづくりに役立つ映像も上映する。
この他、連結したコンベヤーで高速仕分けを行うクロスベルトソータや、天井レールの稼働によって吊り下げた商品を自動で並び替えるパウチソータというシステムなども展示していた。
下代氏は製造業における倉庫内物流の自動化/高度化のニーズについて、「従来の自動車業界では、メインラインに流れたボディーにドアを付けるといった作業を手作業で行っていたが、こうした作業もロボット化する流れが広まっている。こうした自動化の試みは今後もますます進んでいくだろう。また、自動化はカーボンニュートラルの実現にも貢献し得るという利点もある」と説明した。
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