頭上を走り回る物流ロボット、大胆な配置にも応えるオートストアの柔軟性:物流のスマート化(1/2 ページ)
釣り具製品などを展開するハヤブサは2021年12月3日、ロボットを用いた自動物流倉庫システム「オートストア」を導入した自社倉庫の見学会を開催した。レイアウトの柔軟性が高いオートストアの特徴を生かして、入出庫作業を大幅に効率化し、出荷スピードの向上を達成。
釣り具などのアウトドア製品を展開するハヤブサは2021年12月3日、ロボットを用いた自動物流倉庫システム「オートストア」を導入した自社倉庫(兵庫県三木市)の見学会を開催した。レイアウトの柔軟性が高いオートストアの特徴を生かすことで、入出庫作業を大幅に効率化し、出荷スピードの向上を達成した。
「広く浅く」の独自レイアウトを構築
オートストアはノルウェーのスタートアップAutostoreが開発した、ロボットを活用した物流倉庫のシステムである。格子状のロボット走行用レール「グリッド」と、その内部に製品を格納するコンテナ「ビン」、ビンをピックアップして外部のピッキング用スペース(ポート)に搬送するロボットなどで構成される。
従業員(ピッカー)は従来の物流作業のように倉庫内を歩き回ることなく、ポート前の定点で入出庫やピッキングができるため、作業の省力化につながる。グリッドとビンの組み合わせ次第で、倉庫に合わせて柔軟にレイアウトを実現できる点も強みだ。
ハヤブサはルアーなどの釣り具用品をはじめ、アウトドアスポーツ/レジャー向けのアパレル製品、ペット用品などを展開するメーカーである。1959年に釣り具メーカーとして創業し、その後、アウトドア用品づくりの知見を生かして取り扱い製品の多角化を進めてきた。本社所在地は兵庫県三木市で、生産拠点は中国やベトナム、ミャンマーなどに置く。
今回、オートストアを導入した物流センターの敷地面積は3万754m2、床面積は2718m2で、主に釣り具製品を扱う。稼働開始は2021年1月から。2階建ての構造で、1階は主に製品の搬出入や荷役を行う作業エリア、2階はグリッドやビン、ロボットなどオートストアのシステムを導入したエリアとなっている。オートストアのビン数は2万2933箱で、稼働ロボット数は76台、ポート台数は入庫用が3台、出庫用が8台で合計11台。
ハヤブサでは1階の従業員の作業エリア頭上に架台を設置してビンを置く、上部空間を生かした独自のレイアウトを採用している。ビンの段数は従業員の頭上にあるエリアは4段で、その他、ポートの設置位置に合わせて14段重ねている箇所もある。オートストアシステム 社長の鴨弘司氏によると、国内でのオートストア導入事例としては現時点で「最大規模」(同氏)だ。
1階で製品をポートから入庫すると2階に送られ、ロボットが製品の種類などに応じて所定のビンに格納する。注文に応じてロボットは対応するビンをピックアップし、出庫ポートにいるピッカーに送る。ピッカーがビンから必要な製品を取り出し、リフター・コンベヤー上のケースに入れると、自動的にケースが梱包エリアにまで運ばれる仕組みだ。
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