2台で協調して自律搬送するロボットシステム、SGHD倉庫で実証し3人分の作業削減:無人搬送車
NECと、SGホールディングスグループのSGシステム、佐川グローバルロジスティクスの3社は2022年5月12日、2台の協調搬送ロボットでさまざまな種類の台車や荷物が来ても問題なく搬送できる自律搬送システムの実証を推進中であることを発表した。実証はSGホールディングスグループの次世代型大規模物流センター「Xフロンティア」内の通販専用のプラットフォーム「EC Logi Tokyo」で実施。試算では搬送作業に関わる人員3人分の作業を補えるとしている。
NECと、SGホールディングスグループのSGシステム、佐川グローバルロジスティクスの3社は2022年5月12日、2台の協調搬送ロボットでさまざまな種類の台車や荷物が来ても問題なく搬送できる自律搬送システムの実証を推進中であることを発表した。実証はSGホールディングスグループの次世代型大規模物流センター「Xフロンティア」内の通販専用のプラットフォーム「EC Logi Tokyo」で実施。試算では搬送作業に関わる人員3人分の作業を補えるとしている。
2台のロボットでさまざまな種類の荷物に対応
物流業界では、慢性的な人手不足が続く一方で、コロナ禍の影響も含めたEC(電子商取引)需要に伴う小口荷物の増加により、生産性の向上が求められている。その中でSGホールディングスでもこれらの課題を解決するために、最新技術を使った自動化を進めてきており、今回の取り組みのその一環となる。
NECがハードウェアから開発した搬送ロボット。天板にディスプレイを設置し、QRコードを表示させることで天井カメラによる位置把握を行う。ディスプレイを光らせたり音を発することで人と一定レベルのコミュニケーションを図ることもできる。
今回の実証実験で活用する協調搬送ロボットは、2台のロボットでユニットロード(カゴ車、平台車などの荷物搬送機器)を挟み込む形で搬送する。これにより、ユニットロードの大きさや形状にかかわらず、搬送時にロボットに固定する治具などが不要となり、作業員のサポートなしに自動搬送できる。
今回のソリューションでは、倉庫に設置したカメラから得られる情報を集約し複数ロボットを一括して制御するため、搬送ルートの指定やレイアウト変更への対応などを容易に行える。
「一般的にAGV(無人搬送車)や搬送ロボットによる自律搬送を行おうとするとロボットそのものが非常に高価になるが、今回のソリューションではAGV側では最低限の安全確保機能を備えるのにとどめ、多くの部分を制御システム側に担わせる仕組みとしており、ロボットやシステム全体の低価格化ができる点も特徴だ」とSGシステム 取締役 システム戦略担当の丸山信二氏は述べている。2台のロボットで荷物を挟み込む際に「正確に挟めているか」という認識についても、ロボット側に圧力センサーを取り付けるなど認識機能を付けているわけではなく、全て天井カメラの映像処理によって行っているという。「NECの持つ物体認識技術や映像処理技術を複数駆使して実現している」(NEC コーポレート事業開発本部 モビリティロボットDX担当の竹田敏之氏)。
実際の倉庫で50mの自動搬送を実施
これらの取り組みは2020年から技術基礎検証を開始しているが、今回の実証実験ではより実際の作業に近い形で実施した。「EC Logi Tokyo」内に設定された約50mのルートを使用し、2台の協調搬送ロボットを用いて20種類以上の大きさや形状の異なる荷物の搬送を行う。ルート上部の天井には25台のカメラを設置し、カメラ1台で2.4×4.1mの範囲の認識を行う。
小口物流では、さまざまな大きさの段ボールや台車を運搬する必要があるが、これらの多様な形状の荷物を作業員のサポートなしに、所定のルートを自動搬送する。これらが問題なく行えるかどうか、また作業生産性により費用対効果が得られるかを検証する。また、実際の入出荷作業を想定し、作業員の事務作業などと連携した搬送を行うことで、本格導入時の生産性の向上を検証する。
実証は2022年4月25〜28日、同年5月9〜13日の期間で行っており、最終的な評価はまだだが「本番を想定した4ペア8台で運用した場合、作業者3人分の搬送作業を代替できると試算されており、それに近い成果は得られている」(NEC 竹田氏)。今回の実証では費用対効果も検証項目に入っているが「環境によって異なるが、3人分の作業を代替できれば収益性は確保できる」(竹田氏)としている。
今後はこれらの実証で得られた評価や課題などを踏まえつつ、SGホールディングスグループ内での本番展開を進めていく。加えて、SGシステムでは、NECと協力しグループ外への展開も行う方針だ。
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