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物流崩壊から2年、ユニクロが全自動倉庫に取り組む理由(後編)サプライチェーン改革(1/3 ページ)

ユニクロなどを展開するファーストリテイリングとダイフクは2018年10月9日、戦略的グローバルパートナーシップを結んだことを発表した。全自動倉庫を含む物流の抜本的効率化に共同で取り組む。後編では全自動倉庫の全容について紹介する。

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 ユニクロなどを展開するファーストリテイリングとダイフクは2018年10月9日、戦略的グローバルパートナーシップを結んだことを発表した。全自動倉庫を含む物流の抜本的効率化に共同で取り組む。前編ではファーストリテイリンググループの物流改革の取り組みについて紹介したが、後編では、都内の「UNIQLO CITY TOKYO」内に実現した“ほぼ”全自動倉庫の全容について紹介する。

≫前編はこちら

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ファーストリテイリングの「UNIQLO CITY TOKYO」内の自動倉庫の様子(クリックで拡大)

Eコマース向け倉庫で“ほぼ全自動化”を推進

 前編ではファーストリテイリングの物流改革の取り組みと、その一環として取り組む倉庫の全自動化に向けて、グローバルでダイフクと取り組むようになったきっかけについて紹介した。そのダイフクと協業で取り組む全自動化倉庫の最初の成果となったのが、都内にある「UNIQLO CITY TOKYO」内のEコマース向け倉庫である。

 ダイフクは自動車産業など中心に生産ラインや倉庫の自動化などをグローバルで数多く手掛けてきたが「UNIQLO CITY TOKYO」での倉庫の自動化は「ダイフクが手掛けた中でも過去最大規模」(ダイフク 代表取締役社長 下代博氏)だという。これを2016年から取り組み始め、2018年春から一部ラインで稼働を開始。同年10月から本番稼働を開始した。

 「当初は3年かかるとしていたが、ファーストリテイリングとダイフクの特別チームが1つのチームとして働き、失敗を繰り返しながら取り組みを重ねてきたことで、1年半で実現できた」とファーストリテイリング グループ執行役員 神保拓也氏は語っている。一方のダイフク 執行役員の権藤卓也氏は「世界最大級の全自動倉庫をかつてないスピードで実現するということで当社にとっても大きなチャレンジだった」と述べた。

 アパレル企業において倉庫および物流業務における全自動化が難しい点の1つは「服」を取り扱うからだ。服のように柔らかく不定形なものは、機械が自動で認識したりピックアップしたりすることが難しい。さらにこれらを大量に高速で、正確に、安く実現するとなると、「製品である服」を扱う領域はどうしても人手に頼らざるを得なかったというのが従来だった。

 そこで人手が発生する場所をできる限り少なくする必要がある。そのブレークスルーの1つとなったのが、RFID(Radio Frequency Identifier)の活用である。RFIDを活用することで検品作業などで服を1つ1つ取り扱う必要がなく、パレットごとなどでそのまま検品を行うことができるようになる。

 ファーストリテイリングでは、国内外の全店舗、全製品において、製品の個体管理をするためにRFIDを生産段階から組み込み、物流、販売まで一貫して管理できるようにする方針を示している。

 本稿の前編では、物流の混乱に対し「物流の問題は物流だけでは解決できない。川上の企画や生産、川下の販売とすり合わせて最適化を図る必要があった」(神保氏)ということを紹介したが、このRFIDの採用についてはまさに生産から販売まで一体になって取り組んだからこそ可能となったことだといえる。

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RFID自動検品の様子。黒い箱のところで製品1つ1つに付けられたRFIDを読み取る。個数や製品の種類などで間違いがないか自動で把握できる(クリックで拡大)

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