パナソニックが工場など3領域でロボティクス推進、緩くつながる「共在感覚」も:ロボット開発ニュース(2/2 ページ)
パナソニックは2022年3月1日、同社が展開するロボティクス関連事業の技術や取り組みを紹介するオンライン技術セミナーを開催した。同セミナーでは、2022国際ロボット展で同社が展示する内容を紹介した。
「共在感覚」を得るロボットを初展示
追従型ロボティックモビリティ「PiiMo」も展示する。追従走行や障害物との衝突回避といった機能を備えており、これまでは空港を中心に導入されていたが、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、美術館や博物館、観光地などでもニーズも拡大しつつある」という。今後、ユーザーの体験価値最大化に向けて、従来のモビリティサービスシステムに加えて、AR(拡張現実)をはじめとするxRコンテンツを制作するプラットフォームと、商業施設の管理システムとを連携させる仕組みづくりも進めていくという。
「住宅/オフィス空間」に関しては、共在感覚を得られる家庭向けロボット「cocoropa」を初展示する。ペアで使用することを想定しており、ある地点に設置したロボットに触れると片腕が上がり、それと連動して、遠隔地にあるもう1台の機体の腕も上がる仕組みになっている。このため、2台がそれぞれユーザーに触れられていると、どちらの機体も両腕が上がった状態になる。離れた場所で別々に暮らす家族などが使用すると「『緩いつながり』を感じられる」(安藤氏)効果がある。筑波大学との共同研究において、実際にこうした効果が得られることが確認されているという。
蓄積した技術を汎用モジュール化して提供
この他、ロボティクス分野におけるオープンイノベーションを加速させるための、ロボティクス技術の要素技術や開発支援技術を集めたプラットフォームも、その内容を一部展示する。パナソニックが蓄積してきたロボティクス関連技術を、他企業にも使用しやすい形で提供していく。
その1つが、AGV(自動搬送車)やAMR(自律移動型ロボット)などに導入可能なサーボモータとアンプ技術である。パナソニックが低消費電力のAGVを開発する過程で作成した、薄く軽いネットワーク接続対応型のアンプを汎用モジュール化している。この他、屋内外で稼働可能な自律移動ロボット開発用のソフトウェアパッケージも提供する。Webベースでアクセスできるようにする計画で、2022年の販売開始を予定する。
ロボットの安全性を確保するための技術、サービスとして、建機や農機、AGVなどを安全に停止させる「機能安全対応 無線非常停止装置」と、巻き込まれなどの裂傷評価を行うための「指ダミー」といったツールも展示する。また、ロボットのマニピュレーションに関して、コンビニエンスストエアの陳列や廃棄業務を自動化するモバイルマニピュレーターや、いちごや布、紙などもつまめるロボットハンドなども展示する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 日本は本当に「ロボット大国」なのか
「日本のロボット技術は世界一」……。しかし東日本大震災による原発事故で最初に投入されたのは米国製ロボットだった。日本は本当に「ロボット大国」なのだろうか? - ロボットの正しい定義とは
ロボット社会はすぐそこまで来ている――あらゆる技術の集大成といわれるロボットだが、実はその定義はいまだ錯綜している。 - なぜロボットにクラウドが必要なのか?
クラウドを活用してロボットの開発や運用、管理を行うクラウドロボティクス。連載第1回ではAWSのシニアアーキテクトがクラウドロボティクスの現状やAWS RoboMakerの紹介を行う。 - 陸海空ロボットの厳しい使用環境を再現――福島ロボットテストフィールド(福島県)
「次世代の地域創生」をテーマに、自治体の取り組みや産学連携事例などを紹介する連載の第6回。福島県で建設が進んでいる、ロボットのさまざまな使用環境を再現して試験・訓練ができる施設「福島ロボットテストフィールド」を紹介する。 - 8社参加のロボットデリバリー協会が発足、自動配送ロボットの公道走行基準策定へ
川崎重工業、ZMP、TIS、ティアフォー、日本郵便、パナソニック、ホンダ、楽天グループの8社は「一般社団法人ロボットデリバリー協会」を発足したと発表した。 - ロボットと入店できる一軒め酒場 新橋店、配膳ロボットの導入も
養老乃瀧グループ傘下の一軒め酒場 新橋店が、2021年11月1日からロボットとの入店が可能になった。「Robot Friendlyプロジェクト」に賛同した養老乃瀧グループが、先行的な実証店舗として選んだもので、同店での実証を基に同グループ内での適用を検討していく方針だ。