連載
1+1が2にならなかったサプライヤーの企業統合の行方は:自動車業界の1週間を振り返る(2/2 ページ)
さて、今週は心配なニュースも流れてきました。サプライヤーのマレリホールディングス(マレリ)が、経営再建に向けて私的整理である事業再生ADRを申請する、とメディア各社が報じました。
2017年に車載セキュリティで新会社、ITとクルマの連携を模索
旧カルソニックカンセイ時代の取材で記憶に残っているのは、2017年に立ち上げた車載セキュリティの会社「ホワイトモーション」のことです。航空機メーカー出身の社長が立ち上げたフランスのセキュリティ企業Quarkslabと、旧カルソニックカンセイの合弁会社です。
コックピットを手掛けるサプライヤーとしてセキュリティへの対応が重要になる中で、設立時の社長をIT業界から招いたことも特に印象的でした。制約が多い自動車の中でIT業界の知見をどうやって生かしていくか、異業種同士で融合の道を探る姿勢がすてきだなあ、と思っていました。
経営再建というだけでも平時は大変なことですが、今はコロナ禍でさまざまな制約やサプライチェーンの問題もあり、カーボンニュートラルに向けて自動車メーカーも変化を迫られています。その中で経営再建に取り組むのは平時以上に困難な道のりになるかもしれませんが、乗り越えていってほしいですね。
今週はこんな記事を公開しました
- モータースポーツ超入門
- 電気自動車
- 製造マネジメントニュース
- 車載情報機器
- 車載半導体
- 工場ニュース
- 製造マネジメントニュース
- 編集後記
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- トヨタ系、日産系、ホンダ系……「ケイレツ」の今とこれから
今回は日本自動車業界の特徴の1つ、「ケイレツ」について解説します。 - 日産がカルソニックの全株式を5000億円で売却、ヴァレオは市光を完全子会社化
大手サプライヤの買収が相次いでいる。2016年11月22日、日産自動車はコールバーグ クラビス ロバーツ(KKR)に対し、カルソニックカンセイの株式41%を売却すると発表。また、同じ日にヴァレオは市光工業の株式の公開買い付けを開始、完全子会社化することを公表した。 - カルソニックカンセイが車載セキュリティで新会社、「ITをクルマに合わせていく」
カルソニックカンセイは車載セキュリティの脅威分析やゲートウェイの開発などを手掛ける合弁会社「WhiteMotion(ホワイトモーション)」を設立した。フランスのセキュリティ関連企業のQuarkslabと折半出資。拠点はさいたま市北区のカルソニックカンセイ本社内に置く。 - マレリが排気管に取り付けるスピーカーを提案、官能的な排気音を実現
マレリ(マニエッティ・マレリとカルソニックカンセイの統一ブランド)は「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」(2019年5月22〜24日、パシフィコ横浜)に出展し、エンジン搭載車の排気チューニング音や電気自動車(EV)の接近警報音を再生する「アクティブサウンドデバイス」を紹介した。 - ターボのタービンハウジングを板金化、二重構造による空気断熱で熱容量を削減
カルソニックカンセイは「第45回東京モーターショー 2017」において、ターボチャージャーのタービンハウジングを板金化した新製品「CK-SMITH」を公開した。間もなく市販されるディーゼルエンジン車への採用が決まっており、既に量産に入っている。タービンハウジングの板金化は、ディーゼルエンジン車向けでは「世界初」となる。 - 間に合うか!? 熟練技術者の“暗黙知”承継――カルソニックカンセイの場合
技術者の引退や、海外での設計・製造業務の早期立ち上げなどに対し、熟練技術者が持つ形式知・暗黙知を伝える“技術承継”への危機感が高まっている。ジェムコ日本経営が開催したセミナー「技術伝承フォーラム(第五回変革の賢人フォーラム)」では、自動車部品メーカーのカルソニックカンセイが登壇し、ナレッジマネジメントシステムの構築事例を紹介した。