ジャガーランドローバーが自動運転コンピュータにNVIDIA採用、2025年から全モデルに:車載半導体
NVIDIAとジャガーランドローバーは2022年2月16日、複数年の戦略的パートナーシップを締結したと発表した。次世代の自動運転システムや、AI(人工知能)を活用したサービスや体験を共同開発する。
NVIDIAとジャガーランドローバーは2022年2月16日、複数年の戦略的パートナーシップを締結したと発表した。次世代の自動運転システムや、AI(人工知能)を活用したサービスや体験を共同開発する。
2025年から、ADAS(先進運転支援システム)向けにジャガーブランドとランドローバーブランドの全ての車両に自動運転車向けのプラットフォーム「NVIDIA DRIVE」を採用する。自動駐車システムや高度な運転支援機能を提供するとともに、ドライバーなど乗員のモニタリングや、車両の状態の可視化も行う。
NVIDIA DRIVEを採用した車両は、販売後も無線ネットワークによるソフトウェアアップデート(OTA:Over-The-Air)でADASなどを進化させることを前提としている。これらの機能は、NVIDIAのSoC(System on Chip)「Orin」で構成された「DRIVE Hyperion」が自動運転用コンピュータとなって実現する。自動運転向けソフトウェアの他、セーフティ、セキュリティ、周辺監視センサーの処理も担う。
ジャガーランドローバーではNVIDIAのAIスーパーコンピュータ「DGX」と自社開発のデータセンターソリューションを組み合わせてAIモデルのトレーニングを行う他、シミュレーションプラットフォーム「Omniverse」に構築したシミュレーションソフトウェア「DRIVE Sim」による、リアルタイムシミュレーションを活用する。車載コンピュータから開発までエンドツーエンドでカバーする。
量産モデルに搭載する自動運転向けの車載コンピュータでNVIDIAのプラットフォームを採用する自動車メーカーは、ジャガーランドローバーの他、メルセデス・ベンツやボルボなどがある。
DRIVE Hyperionは、ドライバーが加減速や操舵といった操作だけでなく、周辺監視も行う必要がなくなる段階まで対応することができる。車両の制御だけでなく、乗員に車両の動作状況を分かりやすく示し、コミュニケーションするためのデジタルエージェントの動作まで担うことが可能だ。周辺監視では、12台のカメラ、9台のミリ波レーダー、12台の超音波ソナー、1台のLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)から得られるセンサー情報を処理し、車両の全周囲の認識や、冗長性の確保を実現する。NVIDIAはDRIVE Hyperionを搭載した自動運転車の公道テストをメルセデス・ベンツとともに実施している。
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