自動運転車をファーストクラスに、NVIDIAが最新プラットフォームを発表:自動運転技術
NVIDIAは、オンライン開催のユーザーイベント「GTC 2021 Fall」(2021年11月8〜11日)において、メルセデス・ベンツと米国の市街地などで実施してきた自動運転車の走行テストについて紹介した。
NVIDIAは、オンライン開催のユーザーイベント「GTC 2021 Fall」(2021年11月8〜11日)において、メルセデス・ベンツと米国の市街地などで実施してきた自動運転車の走行テストについて紹介した。
開発車両には、車両の制御に必要な認知/判断/操作を担う「DRIVE Chauffeur」と、乗員とコミュニケーションをとるデジタルエージェントの役割を担う「DRIVE Concierge」という2つのAI(人工知能)プラットフォームが採用されており、最新のSoC(System on Chip)「Orin」を2つ使って動作する。Orinや周辺監視用のセンサーで構成された「DRIVE Hyperion 8」が、開発車両に搭載された自動運転プラットフォームとなっている。
このシステム構成により、運転席に座る乗員は加減速や操舵といった操作だけでなく、周辺監視も行う必要がなくなる。さらに、デジタルエージェントが自動運転システムの作動状況を分かりやすく示すため、乗員は安心してシステムに運転を任せることができるという。また、規制や標識、消火栓の有無、時間制限など条件が複雑な都市部の駐車スペースでも、自動駐車を行えるようにする。
DRIVE Conciergeは、車内のモニタリングを行うソフトウェアプラットフォーム「DRIVE IX」と、アバター開発用プラットフォーム「Omniverse Avatar」をベースに、リアルタイムに対話できるデジタルエージェントを構築している。Omniverse Avatarには、自然言語理解、音声合成、レコメンダーエンジンなどの技術が取り入れられており、乗員との自然な会話や質問への受け答えを実現する。
単なるマスコットとしてのデジタルエージェントではなく、車両の制御を担うDRIVE Chauffeurとの統合を基に自動運転中の車両が周囲をどのように認識し、どう行動しようとしているかを、低遅延に高精度なCGで示す。AIプラットフォーム間の連携により、駐車した車両の呼び出しに対応し、駐車スペースの探索などについても乗員に情報を伝えることができるという。
DRIVE Chauffeurは、ある地点から目的地まで全ての行程を自動運転で走行することを実現するという。複雑な交差点や信号機、割り込み、車線変更、道路を横断する歩行者にスムーズに対処しながら市街地から高速道路へと対応する。また、駐車場で歩き回る歩行者や、通路に放置されたショッピングカートのような障害物も認識する。自分で運転したいドライバーのための運転支援システムとしても機能する。
こうした自動走行のため、12台のカメラ、9台のミリ波レーダー、12台の超音波ソナー、1台のLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)から得られるセンサー情報がDRIVE Hyperion 8によって処理され、車両の全周囲の認識や、冗長性の確保を実現する。DRIVE Hyperion 8に含まれるSoCのOrinは、毎秒254兆回の演算処理を行うとともに、自動車向け機能安全規格ISO 26262で最も厳しい安全要求レベルASIL Dを満たす。
こうした自動運転プラットフォームは、センサーから得たデータをラベル付けしてCGモデルに変換し、走行シミュレーションを行うパイプラインの一部である。DRIVE Hyperion 8向けにはコンチネンタルやヘラー、ルミナー(Luminar)、ソニー、ヴァレオがセンサーとシミュレーションモデルを提供。NVIDIAは買収した地図会社DeepMapとも協力しながら、走行データから高精度地図を作製する。こうした取り組みが、走行中の自動運転車が精度が高いワールドモデルを構築し、障害物をよけて周囲の状況を判断し、目的地までの経路を計画するという能力の土台となっているという。
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