ニコン、チタン合金による金属造形に対応した光加工機の最上位機種を発売:3Dプリンタニュース
ニコンは、チタン合金による金属造形に対応した光加工機「Lasermeister 102A」を発表した。顧客要求に応え、使用できる粉種にチタン合金の造形用粉体を新たに加え、生産性と品質を向上させた。従来製品と比較して約2倍の造形速度を実現し、再利用粉体の使用も可能になった。
ニコンは2021年4月26日、チタン合金による金属造形に対応した光加工機「Lasermeister 102A」を発表した。
同製品は、造形や肉盛りなどの金属3Dプリンティングの他、マーキングや接合といったレーザーによる高精度な金属加工が可能な同社独自の光加工機「Lasermeisterシリーズ」の最上位機種に位置付けられ、使用できる粉種にチタン合金(Ti-6Al-4V)の造形用粉体を新たに加え、生産性と品質を向上させた。
日本国内での受注開始時期は同年5月を予定。欧米をはじめとする海外の安全規格にも準拠し、同年11月をめどに欧米での展開も開始する。
光加工機「Lasermeister 102A」の特長とは
同社は、2019年に「Lasermeister 100A」を発表し、翌2020年5月にはその上位機種で、5軸制御機構を採用した「Lasermeister 101A」をリリースしている。今回発表のLasermeister 102Aは引き続き5軸制御機構を踏襲し、かつ同シリーズの特長の1つでもあるコンパクトな筐体サイズ(寸法:850×750×1750mm、重量:330kg)を維持しながら、チタン合金による金属造形への対応や造形速度の向上などを図った。
チタン合金は鉄よりも軽く、ステンレスやアルミニウムよりも耐食性に優れ、高温でも強度を保つことができることから、航空宇宙、自動車、医療といった分野で活用されており、同社にはチタン合金による造形を要望する声が多く寄せられていたという。新製品のLasermeister 102Aでは、従来のSUS、ハイス鋼、Ni基合金に加え、新たにチタン合金の造形用粉体に対応し、さまざまな部品の造形から補修まで幅広い用途に対応する。
品質と生産性の向上については、金属の溶融状態を高速で観測し、造形動作を制御する「メルトプールフィードバック機能」を新たに追加することで品質向上を図ると同時に、従来製品であるLasermeister 101Aの約2倍の造形速度を実現した。また、寸法精度と表面粗さを向上させた他、均一な凝固状態を保つことで造形時の欠陥の低減を図った。このような品質面の強化によって、後工程での作業の簡素化が可能となり、製造工程全体の生産性を大幅に向上させた。
これら機能強化に加え、Lasermeister 102Aでは再利用粉体の使用も可能にした。さらに、粉体供給時に粉体を高速で観察しながら粉体供給動作を制御する「パウダーサプライフィードバック機能」を搭載し、造形品質の向上を実現するとともに、生産コストの削減および環境保全にも寄与するとしている。
Lasermeister 102Aの主な仕様は以下の通りである(表1)。
製品名 | 光加工機「Lasermeister 102A」 |
---|---|
装置寸法 | W:850×D:750×H:1750mm |
装置重量 | 330kg |
定格電圧、定格周波数 | AC200V 単相2線式+保護接地 50/60Hz 2.0kVA |
最大加工寸法 | Φ150×H:150mm |
ボディーカラー | ホワイト、ブラック |
造形用粉体 | 同社指定のSUS、ハイス鋼、Ni基合金、チタン合金(Ti-6Al-4V)の粉体 |
受注開始時期 | 日本:2021年5月、欧米:2021年11月 |
表1 Lasermeister 102Aの主な仕様 |
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