ニコンの金属3Dプリンタがさらに進化、5軸制御と粉体材料の多様化で:3Dプリンタニュース
ニコンは、光加工機の新製品「Lasermeister 101A」を発表した。5軸制御機構を採用し、レーザーによるさまざまな金属加工を実現する。
ニコンは2020年5月26日、光加工機の新製品「Lasermeister 101A」(以下、101A)を発表した。5軸制御機構を採用し、レーザーによるさまざまな金属加工を実現する。
機能性をさらに向上させたニコンの光加工機
101Aは、2019年4月に発表した「Lasermeister 100A」の上位機種という位置付けで、コンパクトな筐体サイズ(寸法:850×750×1700mm、重量:320kg)はそのままに機能を向上。制御機構を3軸から5軸へ拡充し、新たに高速造形モードを搭載した他、使用可能な造形用粉体の種類を増やしたことで造形自由度を高めている。従来機種と同様に、造形および肉盛りといった金属3Dプリンティングや、マーキング(彫刻)、接合といった各種金属加工に対応する。
中でも5軸制御機構の採用と複数種類の造形用粉体への対応は、従来機種の発売以来、多くの要望が寄せられていたという。今回、こうした声に応えるべく機能性を向上させた101Aの開発に至った。
5軸制御機構を搭載したことで、さまざまな形状の金属加工を容易に実現できるようになった。金属3Dプリンティングについては既存品への付加加工や、破損部分の補修などに活用できる。造形用粉体も従来機種でサポートしていた同社指定のSUSの他、ハイス鋼、インコネルの粉体に対応した。また、新たに搭載した高速造形モードにより、従来機種比1.5倍の生産性向上が図れるという。
101Aのボディーカラーは、ホワイトとブラックの2色。2020年5月から受注を開始する。なお、販売については、同年3月に業務提携を開始したDMG森精機とともに拡販を目指すとしている。
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