決算発表シーズンがスタート、カーボンニュートラル戦略の表明も相次ぐ:自動車業界の1週間を振り返る(2/2 ページ)
おはようございます。土曜日ですね。1週間、お疲れさまでした。今週は、2021年3月期第3四半期(2020年4〜12月期)の決算発表がスタートしました。
パンタグラフ付きのトラックでCO2排出削減
GM(General Motors)も、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを発表しました。2030年までに同社の米国拠点での再生可能エネルギーの利用、2035年までの「light-duty vehicles」の電動化とグローバル拠点での再生可能エネルギーの導入、2040年までにグローバルでのカーボンニュートラル達成といった目標が盛り込まれています。2025年末までにGMの米国向けモデルの40%をEVとするため、米国内で急速充電器を2700カ所以上追加するとも表明しました(関連記事:米国でEV普及に向けた経済協議会が発足、GMやフォード、Uberなど17社が参加)。
電動化に関してちょっとときめいたのは、商用車メーカー・スカニアの変わったハイブリッドトラックです。このトラックにはパンタグラフが搭載されており、架線から供給された電力でEV走行するというのです。ドイツで実験的に架線をもうけた高速道路があり、その区間はEV走行で、それ以外はハイブリッド車として走行します。架線のある区間は今後増えていくようですが現在はまだ5kmしかありません。この5kmの区間を活用して技術の有効性を検証します。
大型トラックはEV化が難しいとされています。たくさんの駆動用バッテリーを載せれば代わりに荷物が運べず、駆動用バッテリーを減らせば長距離を走れないからです。架線から走行中に電力を得られれば、大きな駆動用バッテリーを搭載せずにモーターのみで走行できます。ハイブリッド車としての機能を持っていれば、走行距離への不安もなくなります。また、架線を設置するのは、走行中の無線給電のために路面にコイルを設置するよりもハードルが低いように思います。
2050年まではあと29年、2040年までは19年、2030年までは9年です。パンタグラフで電力を得ながら走るような、柔軟なアイデアを試す時間はまだあるのではないかと思います。
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