マツダ初のEVを発売、バッテリー容量を35.5kWhに決めたのはライフサイクルでのCO2排出量:電気自動車
マツダは2021年1月28日、電気自動車(EV)の新モデル「MX-30 EV MODEL」を発売したと発表した。日本国内の年間販売計画は500台。MX-30EVのWLTCモードの走行距離は256km、バッテリー容量は35.5kWhで、税込みメーカー希望小売価格は451万〜495万円。当初はリース販売のみの予定だったが、全国のマツダ販売店のうち7割以上となる717店舗で取り扱う。
マツダは2021年1月28日、電気自動車(EV)の新モデル「MX-30 EV MODEL」を発売したと発表した。日本国内の年間販売計画は500台。MX-30EVのWLTCモードの走行距離は256km、バッテリー容量は35.5kWhで、税込みメーカー希望小売価格は451万〜495万円とした。
当初はリース販売のみの予定だったが、全国のマツダ販売店のうち7割以上となる717店舗で取り扱う。既存モデルと同じ残価率の残価設定型クレジットの設定に加えて、1日モニター試乗やEVの問い合わせ専用ダイヤルの設置などにより、安心してEVを購入できるようにする。
これまでマツダは電源構成に合わせて、欧州など火力発電の比率が低い地域にはEVを、火力発電の比率が高い地域にはEV以外の電動車を投入する方針を示してきた。資源の採掘から、素材や部品、車両の製造、車両の走行中、車両の廃棄やリサイクルの段階まで、ライフサイクル全体でのCO2排出削減につなげるためだ。
日本は火力発電の比率が高い地域ではあるが、再生可能エネルギーによって発電した電力で充電できる場合や、再生可能エネルギーで発電した電力を購入できるユーザー、ガソリンスタンドの廃業が進む地域での移動の確保など、EVがCO2排出削減に貢献できるケースがあると判断した。
MX-30EVのバッテリー容量は、主戦場である欧州においてライフサイクル全体でのCO2削減に取り組む観点で決めた。マツダが試算したライフサイクルアセスメント(LCA)では、日本で車両を生産した時点(日本の電源構成)においては「マツダ3」のディーゼルモデルが最もCO2排出量が少なく、バッテリー容量35.5kWhのEV、95kWhのEVがこれに続く。その後、走行中のCO2排出量を欧州の電源構成に基づいて試算すると、走行距離が8万〜10万kmの時点で、マツダ3のディーゼルモデルとバッテリー容量35.5kWhのEVのCO2排出量が逆転するとしている。
一方、バッテリー容量95kWhのEVはライフサイクルを通じてマツダ3のディーゼルモデルよりもCO2排出量が多く、駆動用バッテリーを交換した際にはCO2排出量がさらに増えるという。こうした試算の結果や、デイリーユースに不足のないバッテリー容量を検討して35.5kWhとした。
MX-30EVの車体には新世代車両構造技術「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE」を採用。基本骨格のストレート化と、バッテリーケースをフレームに結合させて骨格の一部として生かした高剛性な環状構造により、剛性アップと伝達遅れ低減の両立を図った。バッテリーケースは振動やロードノイズの抑制にも貢献している。
既存モデルに搭載してきた車両運動制御技術「G-ベクタリング」は、モーターのトルク特性を生かした「e-GVC Plus」に進化させて搭載する。コーナー進入時のステアリング切り込み操作やコーナーの出口に向けてステアリングを戻す操作など、場面に合わせてトルクを増減させて前後の荷重移動を行う。
インフォテインメントシステム「マツダコネクト」には、EV専用の追加サービスを用意した。スマートフォンアプリ「MyMazda」によって充電やエアコンの遠隔操作、充電スポットの検索、バッテリー残量やエアコン作動状況の確認などを行うことができる。
「ディーゼルエンジンにはまだ期待できる」
マツダは2030年までに生産する全ての車両を電動化する方針だ。MX-30で設定したマイルドハイブリッド車とEVの他、2022年にプラグインハイブリッド車を、2022年以降にロータリーエンジンをレンジエクステンダーとして使用する電動パワートレインを投入する。多様な電動車の展開に対応した生産設備のフレキシブル化、EV専用プラットフォームの開発、EVモデルの追加についても取り組む。
また、火力発電の比率が高い地域向けにバイオ燃料など次世代液体燃料の活用も進めるため、「ディーゼルエンジンにはまだ期待できる」(マツダ 執行役員 R&D管理・商品戦略・技術研究所担当の工藤秀俊氏)としている。
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