マツダ初の量産EVは観音開きドア、「心を整える空間」を実現した工夫:東京モーターショー2019
マツダは「第46回東京モーターショー2019」(会期:10月24日〜11月4日、東京ビッグサイト他)において、同社初の量産電気自動車(EV)となる「MX-30(エムエックス サーティー)」を世界初公開した。
マツダは「第46回東京モーターショー2019」(会期:10月24日〜11月4日、東京ビッグサイト他)において、同社初の量産電気自動車(EV)となる「MX-30(エムエックス サーティー)」を世界初公開した。同車種は同社新世代商品群の第3弾となるモデル。2019年10月23日から欧州市場で先行予約の受付を開始し、来年から同市場で販売を開始する。
マツダは2030年時点で生産する全車両に電動化技術「e-SKYACTIV」を搭載する。各国のエネルギー事情や顧客志向の多様性などを踏まえ、電動自動車のマルチソリューションを進める構えだ。MX-30はその選択肢の一翼を担うクルマとなる。
SUVクーペのスタイルを採るエクステリアは「Human Modern」がコンセプト。同社のデザインテーマ「魂動」による、人の手が生み出す美しさとこだわりのつくり込みを基礎とし、新たなライフスタイルに寄り添った表現を模索したという。センターピラーレスで観音開きの「フリースタイルドア」を、ロータリーエンジン搭載スポーツカー「RX-8」以来で初めて採用。ボディーに効率的なエネルギー吸収構造を持たせることで、高い衝突安全性能を実現しつつ、車内空間にさらなる開放感を演出する。
インテリアでは、センターコンソールからシフトレバーなどを浮かせた「フローティングテーマ」を取り入れた。環境負荷の少ないサステイナブルな素材でインテリア各部を構成している。特に、コンソールトレイの素材には木の表皮から作ったヘリテージコルクを用いており、2020年に創立100年を迎えるマツダの前身「東洋コルク工業」をモチーフとした。
走りの面においても「内燃機関の商品と同様に、滑らかで自然な運転感覚による人馬一体感を実現した」(同社社長の丸本明氏)とし、人間中心の開発を行ったとする。パワートレインにはe-SKYACTIVを採用し、システムの最高出力は105kW、最大トルク265Nm。角型リチウムイオン電池を35.5kWh(欧州仕様の暫定値)搭載している。WLTPでの走行距離は200kmだ。
先進安全技術「i-ACTIVSENSE」を強化し、被害ブレーキ技術に交差点での衝突事故防止を図る機能を追加した他、白線が引かれていない道路での逸脱回避をアシストする技術も導入した。
同車の車両サイズは4395×1795×1570mm(欧州仕様の暫定値、以下同じ)、ホイールベースは2655mm、タイヤサイズは215/55R18だ。欧州マツダでの予約価格は3万3990ユーロ(約410万円)である。
MX-30の開発主査を担当した竹内都美子氏は、開発のコンセプトとして「心が整えられる空間を作りたいと考えた。いつも通りの自分で過ごす生活の手段としてMX-30を選んでもらいたい」と語る。丸本氏は「みなさまにマツダとのつながりに誇りや愛着を感じていただける会社になることを目指す」と述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- マツダ新世代商品群の第3弾はEVに、日本で世界初公開
マツダは2019年9月25日、「第46回東京モーターショー2019」(一般公開日:2019年10月24日〜11月4日、東京ビッグサイト他)において、同社初となる量産電気自動車(EV)を世界初公開すると発表した。 - マツダ「CX-30」が予約受注開始、室内空間とタイトな外観を両立して「ジャストサイズ」
マツダは2019年9月20日、東京都内で記者会見を開き、新世代商品の第2弾となる「CX-30」の予約受注を開始したと発表した。 - マツダの2台のコンセプトモデルが示す、「魂動デザイン」の端と端
マツダは「第45回東京モーターショー 2017」において、今後のデザインの方向性を示す2台のコンセプトカーとして、クーペタイプの「VISION COUPE(ビジョンクーペ)」とコンパクトハッチバックタイプの「魁 CONCEPT(カイ・コンセプト)」を披露した。 - マツダのからくりを通じた人づくり、工場は創意工夫と成長の場
工場では多品種化と生産性向上の両立が求められており、そこでは人がより効率よく安全に作業するための工夫も欠かせない。マツダは長年からくりを活用した作業改善に力を入れてきた。同社がからくりを用いた改善に取り組む理由を聞くとともに、「からくり改善(※)くふう展2018」(主催:日本プラントメンテナンス協会)に出品された同社の作品の一部を紹介する。 - マツダのコモンアーキテクチャとフレキシブルライン生産を支えるデジタル変革
モノづくりの専門展「日本ものづくりワールド 2019」(2019年2月6日〜8日、東京ビッグサイト)の基調講演に、マツダ 常務執行役員 グローバル生産・グローバル物流担当の圓山雅俊氏が登壇。「マツダのモノ造り〜モノ造りの志と挑戦〜」をテーマに、同社の基盤となるモノづくりにかける志と挑戦の歴史などを紹介した。 - モデルベース開発は単なる手法でなくモノの考え方、マツダ流の取り組みとは
マツダは2021年に向けて、エンジンや電動パワートレイン、プラットフォーム、デザインなど、さまざまな分野の取り組みを同時並行で市場投入する。「今後の研究開発計画を、今の人数でなんとかこなせるのはモデルベース開発を取り入れているから。単なる開発手法ではなく、ものの考え方だ」と同社 常務執行役員 シニア技術開発フェローの人見光夫氏は説明する。