マツダの2台のコンセプトモデルが示す、「魂動デザイン」の端と端:東京モーターショー 2017
マツダは「第45回東京モーターショー 2017」において、今後のデザインの方向性を示す2台のコンセプトカーとして、クーペタイプの「VISION COUPE(ビジョンクーペ)」とコンパクトハッチバックタイプの「魁 CONCEPT(カイ・コンセプト)」を披露した。
マツダは「第45回東京モーターショー 2017」(プレスデー:10月25〜26日、一般公開日:10月28日〜11月5日)において、今後のデザインの方向性を示す2台のコンセプトカーを披露した。
1台はクーペタイプの「VISION COUPE(ビジョンクーペ)」、もう1台はコンパクトハッチバックタイプの「魁 CONCEPT(カイ・コンセプト)」だ。いずれも同社独自の「魂動デザイン」を深化させたものだが、目指すところは正反対だ。
2つのブックエンド
マツダの説明員は「カイ・コンセプトは、2015年の東京モーターショーで発表したコンセプトカー『RX-VISION(RX-ビジョン)』と同じ系統で、あでやかさを表現した」という。RX-ビジョンと対をなすのがビジョンクーペであり、ビジョンクーペはシャープさやのびやかなエレガントさを目指したモデルとなる。
RX-ビジョンとビジョンクーペは「マツダのデザインのブックエンドで、それぞれの方向でここまでやるぞという“端”を示している」(同社の説明員)。
カイ・コンセプトはコンパクトハッチバックという車両タイプを踏まえ、塊感やキャビンとボディーの一体感を重視した。「各社のハッチバックを見ていると、合理的で真面目なクルマだと感じる。ボディーの上にキャビンが載ったデザインも多い。その中で、あでやかさを追求した魂動デザインによって個性を発揮する」(同社の説明員)という狙いもある。カイ・コンセプトのサイドビューは、キャラクターラインに頼らずに内側にデザイン要素を集めることで一体感を持たせたという。
RX-ビジョンやカイ・コンセプトのデザイン手法は、コンパクトカーやスポーティーなモデルに向けたもので「セダンで同じことをやろうとするとおかしくなる。セダンはビジョンクーペの手法を取り入れる。車両タイプごとに使い分けることになる」(同社の説明員)。こうしたデザインの方向性の使い分けは、現行モデルでも実践されている。
マツダの説明員は「日本の美意識は、細かいところやちょっとした変化から何かに気付いたり、感じ取ったりする感性に特徴がある。そういう意味では、現行モデルの魂動デザインは分かりやす過ぎるところがある。今回披露した2台のコンセプトカーは一見シンプルで単純な形に見えるかもしれないが、光の当たり方によって表情が繊細に変わる。量産モデルも同じように繊細な表現を目指していくことになるだろう」と説明した。
関連記事
- エンジン・車両構造・デザインを刷新、マツダ次世代商品群を示すコンパクトハッチ
マツダは、「第45回東京モーターショー 2017」において、次世代商品群の先駆けとなるコンセプトモデルと次世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-X」を出品する。 - マツダのSKYACTIVに第3の内燃機関、ガソリンエンジンの圧縮着火をどう実現したか
マツダは、2030年までの技術開発ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を発表した。企業平均CO2排出量を2030年までに2010年比50%削減を目指す。目標達成のカギを握るのは内燃機関の理想を追求することだという。 - マツダ新型SUV「CX-8」、導入以来最大の改良を受けた「SKYACTIV-D」を搭載
マツダは3列シートの新型クロスオーバーSUV「CX-8」を発表した。国内向けSUVラインアップの最上位モデルと位置付け、既存のミニバンユーザーを取り込む。発売は12月14日を予定している。 - マツダの走りを陰で支える、高機能樹脂材料の開発秘話
マツダと聞くと「SKYACTIV」の名で知られるディーゼルエンジンやガソリンエンジンの燃焼技術、シャーシ技術や魂動デザインがイメージされる。SKYACTIVテクノロジーを実現する上でも重要な材料の開発技術にも力を入れている。とりわけ樹脂に関しては、軽量化やエコロジーの観点からも重要だ。 - 形にならぬ設計者の思いを可視化、マツダCX-5を洗練させた設計探査
多目的最適化は自動で最適な設計解を出してくれる――そういった思い込みはないだろうか。実際、あくまで設計支援の技術だが、その効果は幅広い。マツダの「モノ造り革新」の先陣を切ったCX-5の設計開発において最適化が採用されている。同社に最適化を最大限活用する方法や得られる効果、課題について聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.