マツダのSKYACTIVに第3の内燃機関、ガソリンエンジンの圧縮着火をどう実現したか:エコカー技術(1/2 ページ)
マツダは、2030年までの技術開発ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を発表した。企業平均CO2排出量を2030年までに2010年比50%削減を目指す。目標達成のカギを握るのは内燃機関の理想を追求することだという。
マツダは2017年8月9日、東京都内で会見を開き、2030年までの技術開発ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を発表した。企業平均CO2排出量を2030年までに2010年比50%削減を目指す。
内燃機関を搭載する自動車は、ハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を含めて2035年ごろも大多数を占めると見込み、内燃機関の理想を徹底的に追求する。HEVやPHEVは、理想的な内燃機関に効率のよい電動化技術を組み合わせることで開発していく。
環境規制の強化やクリーンな発電を行う地域に向けては、電気自動車(EV)を投入し、「地域ごとに適材適所なマルチソリューション」(マツダ 社長の小飼雅道氏)となる商品構成とする。
目標達成に向けて、Well-to-Wheel(燃料の採掘、発電や燃料精製から車両走行まで)で見たCO2削減に取り組む。また、交通事故や、過疎地域での公共交通の弱体化などの社会課題にも取り組んでいく。
次世代ガソリンエンジンは2019年に投入
マツダの企業平均CO2排出量削減のカギを握る内燃機関。2019年に次世代ガソリンエンジンを、2020年に次世代ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D GEN2」を導入する。次世代エンジンを投入するまで、既存のエンジンのアップグレードも続ける。
会見で発表した次世代ガソリンエンジンは「SKYACTIV-G GEN2」ではなく「SKYACTIV-X」を名乗る。ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの“クロスオーバー”で、燃料のガソリンをディーゼルエンジンのように圧縮着火して燃焼させるのが由来だ。マツダのエンジンのラインアップはSKYACTIV-G、D、Xの3種類となる。
マツダ 取締役専務執行役員 研究開発・MDI・コスト革新統括の藤原清志氏は「ガソリンエンジンならではの出力や暖房性、排気浄化性に、ディーゼルエンジンの燃費性能、トルク、レスポンスを備えた良いとこどりのエンジンだ」と説明した。
SKYACTIV-Xは現行SKYACTIV-Gと比較して、トルクは全域で10%以上、最大30%向上した他、エンジン単体での燃費は、最新のSKYACTIV-Dと同等以上で現行SKYACTIV-Gから最大で20〜30%改善する。
さらに、従来より高トルク・高回転数の領域まで燃費が良好なため、ギア比選定の自由度も上がったという。これまでギア比と燃費はトレードオフの関係にあり、走りを優先するギア比にすると燃費が悪化した。SKYACTIV-Xは走りを優先したギア比でも燃費が良好な領域内に収まるため、走りと燃費の両立が可能だとしている。
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