マツダのSKYACTIVに第3の内燃機関、ガソリンエンジンの圧縮着火をどう実現したか:エコカー技術(2/2 ページ)
マツダは、2030年までの技術開発ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を発表した。企業平均CO2排出量を2030年までに2010年比50%削減を目指す。目標達成のカギを握るのは内燃機関の理想を追求することだという。
圧縮した空気をさらに圧縮、追加で空気も送り込む
HCCI(予混合圧縮着火)のこれまでの課題について藤原氏は圧縮着火の成立範囲が狭いことを挙げた。温度不足や反応時間不足による失火、燃料増大による爆発的な燃焼が起こってしまい、安定して燃焼できる領域が限られる。火花点火による燃焼を併用しようにも、燃焼の切り替えを制御するのが困難だった。マツダは、火花点火と圧縮着火の切り替えをコントロールするため、スパークプラグを制御対象とすることにした。これをSPCCI(Spark Controlled Compression Ignition:火花点火制御圧縮着火)と呼んでいる。
藤原氏によれば、第2のピストンとなる「膨張火炎球」によって燃焼室内の混合圧縮気をさらに圧縮し、圧縮着火に必要な環境を実現する。さらに、圧縮着火燃焼の領域を中〜高負荷まで広げることをサポートする技術として「高応答エアー供給機」をエンジンに装備する。圧縮着火が可能な領域を従来より広げるには、多くの空気を送り込む必要があるためだ。これにより、圧縮着火の成立範囲を広げるとともに、火花点火と圧縮着火をスムーズに切り替えられるようにした。
SKYACTIV-Xの詳細については、後日あらためて報道向けに説明会が開かれる予定だ。
2025年に自動運転技術を標準装備に
会見で小飼氏は、2025年までに自動運転技術を標準装備とする目標を示した。2020年には詳細を発表し、実証実験を開始する計画だ。一方、先進運転支援システムについては既に日本で「デミオ」「アクセラ」「アテンザ」「CX-3」「CX-5」の5モデルを対象に標準装備化を進めた。2018年以降はグローバルで同様に標準装備として普及させていく。
車載情報機器「Mazda Connect(マツダコネクト)」も社会課題の解決に貢献させる。進化版のマツダコネクトを活用することにより、「クルマを使う人が交通弱者や過疎地での移動を支える役割を担えるようなビジネスモデル」を創造するとしている。このビジネスモデルについて詳細は明らかにされなかったが、ストレートに言葉を受け止めればライドシェアが思い浮かぶ。
2018年には次世代の車載情報機器「New Mazda Connect」を発表予定となっており、そこでマツダコネクトが生みだす新しいサービスについて明らかになりそうだ。
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