マツダ「アクセラ」の3つのグレード、エンジンの違いでどんな個性が?:乗って解説(1/3 ページ)
マツダが2016年7月に一部改良を実施して発売した「アクセラ」は、一見すると控えめな変更しか分からない。しかし、実際に乗り比べてみると、従来モデルとの違いやパワートレーンごとの個性が見えてくる。他社とは異なるマツダの運転支援技術についても、搭載の狙いを聞いた。
マツダが2016年7月に一部改良を実施して発売した「アクセラ」に試乗した。
スタイリングの変化は「マイナーチェンジ前のモデルのオーナーしか気付かないのでは?」と思うほど控えめなものだ。一部改良だとしても印象の変化は少ない。それほど「魂動デザイン」をベースにしたアクセラのスタイリングは、完成度が高いということなのだろう。
しかし同じヘッドランプ形状ながら、グリル回りの処理の違いでやや眼光が増した感があるのは、なかなか興味深い。
インテリアもHUD(ヘッドアップディスプレイ、マツダは「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」と呼ぶ)がカラーになったので視線が行きやすく、メーター回りもスッキリとシンプルな表示になって見やすくなったが、全体としての印象は以前のままだ。変化に乏しいのは、スタイリングと同じくそれだけデザインや仕様の完成度が高いからだ。
それはエンジンや足回りについても同様なのだが、それでも走らせてみると従来型との違いは伝わってくる。
アクセラの強みは、4人乗っても十分な動力性能と燃費の良さ
最初に試乗した「15S」、排気量1.5l(リットル)のガソリンエンジン車については、従来も軽快なスポーツハッチとしても十分な実力を備えていたから、変わらぬ魅力的な走りを楽しませてくれた。
15Sは遮音性を高めたボディの恩恵が感じられたものの、やや残念に思う部分もあった。それはエコカーとは思えないほど小気味よく回り、弾けるようなビート音を奏でてくれるエンジンの存在感が少し薄らいでしまったことだ。
そんな印象を感じて走りながら、2013年のアクセラ全面改良時の取材での会話を思い出した。
「エンジンのポテンシャルの8割はクランクシャフトの剛性で決まります」。パワートレイン開発本部長の廣瀬一郎氏のその言葉が印象的だった。「でもあれは、どうしてあそこまで気持ちいいエンジンになったか、正直分からないんです。ちょっと想定よりクランクシャフトの剛性が高すぎたのかな」(廣瀬氏)。
それがこの排気量1.5lの「SKYACTIV-G」というパワーユニットだ。MTの4人乗車でも十分な動力性能を見せてくれて、予想以上に燃費もいい。このパッケージングこそアクセラの最大の魅力だと思った。それを再認識した上で、異なる2つのエンジンにも試乗してみた。
2.2lディーゼルは応答性が向上、トルクフルでもギクシャクしにくい
次に試乗したのは「22XD」、アクセラに設定された最強のパワーユニットである。排気量2.2lのディーゼルエンジンは相変わらず全域でトルクフルで、どこからでも豪快な加速を見せつける。
18インチホイールが標準の足回りは、ブッシュのたわみによって衝撃を吸収させていることをより印象付ける感触だ。車重がある分、乗り心地もやや柔らかめで、16インチホイールを装着する15Sよりも、むしろソフトなほどだった。
この速く豪華で快適な若ダンナ仕様は、エンジンをさらに高応答に仕立ててきた。「DE精密過給制御」が採用されたことにより、過給の立ち上がりがさらに鋭く、車体のレスポンスも高まっている。
以前試乗した従来モデルはATで、この日試乗したMTとは仕様に違いがあるが、エンジンのピックアップがさらに良くなったことが、よりスポーティーな動きを高めている。
これだけのトルクがあると、アクセルペダルに対する反応は高めすぎても操作が難しくなってギクシャクしやすい要因となってしまうから、難しいところだ。しかし、少々荒れた路面を走り抜けても変に身体が揺すられてトルク変動が起こってしまうこともない。それは先述した乗り心地の良さと、ドライビングポジションの確かさも貢献している。
加速時のエンジン音は、ディーゼル4気筒から6気筒にでもなったかのように高級感がある。新たに採用された静粛性を高める技術「ナチュラル・サウンド・スムーザー」と「ナチュラル・サウンド・周波数コントロール」の効果だろうか、以前よりキメが細かくなったような印象だ。メーカーオプションであるBOSEの走行ノイズ補償システムも搭載されているが、その効果は従来モデルより抑え目にしているようだ。
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