商品改良した「マツダ3」はソフトウェアで性能向上、既販車も更新対象に:エコカー技術
マツダは2020年11月19日、「マツダ3」を商品改良して発売したと発表した。今回の商品改良では走行性能と安全性を向上させた。
マツダは2020年11月19日、「マツダ3」を商品改良して発売したと発表した。今回の商品改良では走行性能と安全性を向上させた。
走行性能に関して、マイルドハイブリッドと新世代ガソリンエンジンを組み合わせた「e-SKYACTIV X」搭載モデルでは、エンジンとトランスミッションの制御ソフトウェアを変更することにより、アクセル操作に対する応答性とコントロール性を高める。このソフトウェアアップデートは、既にマツダ3のe-SKYACTIV Xを購入したユーザーも対象に、販売店において無償で実施する方針だ。
ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.8」搭載モデルは、出力向上とともに、幅広いシーンでトルクフルな走りを強化した。
安全面では運転支援機能「クルージング&トラフィック・サポート(CTS)」の作動上限速度を従来の時速55kmから拡大し、高速道路での疲労や運転ストレスの軽減を図る。また、レーダークルーズコントロールは人間特性に合わせて滑らかに加減速制御を行えるよう変更する。サスペンションの改良により、車両応答の質感も高めた。さらに、6速MTを「SKYACTIV-G 2.0」搭載モデルに追加する。
e-SKYACTIV Xは、燃焼制御技術SPCCI(火花点火制御式圧縮着火)を採用したガソリンエンジン「SKYACTIV-X」とマイルドハイブリッドシステム「Mハイブリッド」を組み合わせている。今回の商品改良では、SPCCIの燃焼制御を最適化することにより、ほぼ全てのエンジン回転域でトルクと出力を向上させた。最高出力は132kWから140kWに、最大トルクは224Nmから240Nmに改善した。高応答エアサプライの過給を緻密に制御し、アクセル操作に対して速やかに過給することで応答性を向上させる。
SKYACTIV-D 1.8は、最高出力を85kWから95kWに向上させるとともに、より広いエンジン回転域でトルクを発揮する制御を行うよう変更した。これにより、アクセルを踏み始めた瞬間の応答性を大幅に改善する。高速道路での合流や追い越しなど、アクセルを踏んで一気に加速する場面(3000rpm以上)においては、より力強いトルクを生み出し、パワフルな加速を持続的に発揮するとしている。ディーゼルエンジンならではの経済性を維持しながら、アクセル操作に対して遅れなくトルクを発揮するよう、燃焼制御を見直した。
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