ジャカルタ市内は世界最悪の渋滞、公共交通の拡充が急務に:新興国自動車事情(7)(1/4 ページ)
インドネシアの首都ジャカルタは、人口1000万人を超える世界有数の大都市。しかし公共交通機関の整備はまだまだこれからということで、急増する自家用車があふれて混沌(こんとん)の度合いを増しています。今回はそんなジャカルタと、モーターショーの開催される新開発エリア「BSDシティー」の様子を紹介しましょう。
世界最悪ともいわれる渋滞
インドネシアの首都であり、最大の都市でもあるジャカルタ。同国政府発表の統計データによれば、ジャカルタの人口は2015年の時点で1017万人ということです。2010年の統計では980万人程度だったはずですから、経済発展による中間層の拡大が都市部への流入を促し、膨張を続けていることがうかがえます。
そして他国の大都市と同様に、深刻な交通渋滞に悩まされています。その様子は、時に「世界最悪」と形容されるほど。確かにタイのバンコクやインドのデリーと比べても、それらよりもさらにひどいと感じられる、という実感があります。
ちなみに、インドネシア全体における2017年の新車販売台数は、商用車を含めておよそ107万9000台。ASEAN地域では最大のボリュームを誇りますが、それでも2億6200万人という人口を考えればまだまだ普及率は低いといえます。今後に保有台数が上昇を続けるのは確実ですから、このままではジャカルタ市内ではクルマでの移動ができなくなってしまいそうな予感さえ覚えてしまいます。
それではなぜ、ここまで渋滞が酷くなってしまっているのでしょうか。その理由は、大量輸送が可能な公共交通機関がほとんど存在していないからなのです。
市内を結ぶ鉄道路線網は建設中
ジャカルタ市内に、公共交通機関がないわけではありません。鉄道では「ジャボデタベック」と呼ばれるジャカルタ市内と周辺地域を結ぶ近郊電車ネットワークがあり、朝夕の通勤需要にも対応しています。この路線ではJR東日本や東京メトロの譲渡車両が主力として活躍しているので、ネットのニュースなどで画像を見たことのある人も多いかもしれません。
しかし、ジャボデタベックは大小合わせて6つの路線を持っていますが、その全てが周辺地域と市内を結ぶもの。東京や大阪の地下鉄のように路線が張り巡らされているわけではないので、市内の移動に向いているとは言いがたいものです。
もちろん当局も手をこまぬいているわけではなく、現在はインドネシア初のメトロ(地下鉄)の建設が進められています。日本のJICA(国際協力機構)の支援を受け、市内を南北に貫く路線が2019年中の開通と運行開始を目指しているということです。このほか、東西に走る路線も準備中で、これらが開通すれば渋滞に巻き込まれるよりははるかに速く、市内を縦横に移動できるようになることでしょう。
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