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ジャカルタ市内は世界最悪の渋滞、公共交通の拡充が急務に新興国自動車事情(7)(2/4 ページ)

インドネシアの首都ジャカルタは、人口1000万人を超える世界有数の大都市。しかし公共交通機関の整備はまだまだこれからということで、急増する自家用車があふれて混沌(こんとん)の度合いを増しています。今回はそんなジャカルタと、モーターショーの開催される新開発エリア「BSDシティー」の様子を紹介しましょう。

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公共交通機関として活躍するBRT

 メトロ建設中の現在、市内の主要な公共交通機関として活躍しているのは2004年に開通したBRT(バス・ラピッド・トランジット、バスによる高速輸送システム)です。大通りでは一般車両が進入できない専用レーンを走行することで、路線バスよりも高速で運行できる強みを持ちます。

 BRTは、言ってみればバスに路面電車の利点を組み込んだシステム。ジャカルタでは「トランスジャカルタ」という事業者が運営していますが、停留所に鉄道のようなプラットフォームを採用することで車両床面との段差をなくし、乗降性を高めるアイデアが採用されています。

 しかし残念ながら、システム全体としてのユニバーサルデザイン達成率は、LRTと呼ばれる新世代の路面電車ほどには高くありません。停留所は中央分離帯に設置されることが多いため、利用者は車道をまたぐ歩道橋を使う必要があります。また、鉄道と違って、どれだけプラットフォームに幅寄せできるかはドライバーの技量次第。複数の車体をつなげる連接バスでそこまで微細なコントロールをするのは至難の業です。ジャカルタではこの隙間を安全にまたげるよう、介助スタッフを配置している停留所も多くなっています。

大通りではBRT専用レーンが整備され、中央分離帯にある停留所は鉄道駅のような雰囲気。プラットフォーム方式を採用しているためバスの床面は高いままでよく、フルフラットな客室を実現している(クリックして拡大)

 BRTは線路を敷設しないでも運行できるメリットはありますが、欧州各国ではほとんどの場合、建設コストが多少かさんだとしてもLRTを採用する理由がここにあります。この幅寄せの問題を解決するには、停留所の近辺だけは専用の軌道を使うガイドウェイバス方式を採用するという方法もありますが、これは高速性を多少損なってしまう要因となります。

 ちなみに、バスや路面電車の専用レーンを設けるとなると、決まって「車線を減らしたら、渋滞がよけいにひどくなるんじゃないか?」という声が上がるものです。しかし、それではなぜ、欧州の多くの国で、都市部にLRT路線を追加する動きが活発なのでしょうか。フランスのパリなどではマイカー通勤から転換する人が続出し、むしろ渋滞が減ったという話を聞いたことがあります。ジャカルタでもBRT利用者は日中でも非常に多く、渋滞削減にも確実に貢献しているのではと思わせます。複数の路線が交差する停留所は乗り換えターミナルの役割も持ち、人でごった返していました。

交差点やラウンドアバウトでは専用レーンから優先レーンに切り替わる。一般車両の動線とBRT車両の動きの自由度を確保するためだが、ここが渋滞するとBRTでも遅延を余儀なくされてしまうことになる(左)。路線が交差する停留所は、乗り換え客でごった返す(右)(クリックして拡大)
プラットフォームとBRT車両の間に大きな隙間ができてしまうのは、構造上、仕方のないところ。幼児や年配者、車椅子利用者でも安心して使えるようにするには、車両に補助ステップを追加するといった対処が必要だろう(クリックして拡大)

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