ジャカルタ市内は世界最悪の渋滞、公共交通の拡充が急務に:新興国自動車事情(7)(3/4 ページ)
インドネシアの首都ジャカルタは、人口1000万人を超える世界有数の大都市。しかし公共交通機関の整備はまだまだこれからということで、急増する自家用車があふれて混沌(こんとん)の度合いを増しています。今回はそんなジャカルタと、モーターショーの開催される新開発エリア「BSDシティー」の様子を紹介しましょう。
人々が行き交い、活気あふれるバスターミナル
BRT以外に、通常の路線バスも市内を縦横に走っています。コパジャ(ジャカルタ輸送組合)やメトロミニといった事業者が中型バスを運行し、ミクロレットはトラックやMPVを改造した車両を、どこでも自由に乗降できる小型バスとして運行しています。
市内には大きなバスターミナルが数カ所あり、郊外から到着した大型バスから中型バスに乗り換える交通結節点としての役割を担っています。とくにメトロミニの車両はひっきりなしにやってきて、プラットフォームに前車が停まっていたら進入路でも利用者が乗降するほど。朝夕に限らず終日、活気があふれています。このためプラットフォームへ向かう通路は地下にあるのですが、ここには雑貨や服をはじめとして各種日用品を購入できるショッピングフロアが広がっています。
いっぽう市内の路上では、渋滞の影響を受けにくいバイクタクシーが急増しています。より正確に言えば、個人でタクシー営業をしていたライダーが、次々とGO-JEK(ゴジェック)やGrab(グラブ)といったシェアリング事業者に登録している、ということになります。それぞれの事業者名を記したベストやヘルメットを着用することではっきりとタクシーだと分かるようになり、またスマートフォンで呼ぶこともできるようになったため、利便性が飛躍的に高まりました。
もちろんスマホアプリを介さず、以前のように直接声をかけてもよいわけですから、ライダーにとっても登録しない理由がありません。タクシー業者とシェアリング事業者が対立するのではなく、お互いのメリットを持ち寄って共存していることが分かります。バスは大衆が安価に移動できる手段ですが、渋滞を避けることはできません。むしろミクロレットなどは、どこでも乗降できるために渋滞の原因となってしまうことさえあります。こうした状況が抜本的に改善されない限り、シェアリング事業者と契約したバイクタクシーは快進撃を続けることになるでしょう。
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