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ジャカルタ市内は世界最悪の渋滞、公共交通の拡充が急務に新興国自動車事情(7)(4/4 ページ)

インドネシアの首都ジャカルタは、人口1000万人を超える世界有数の大都市。しかし公共交通機関の整備はまだまだこれからということで、急増する自家用車があふれて混沌(こんとん)の度合いを増しています。今回はそんなジャカルタと、モーターショーの開催される新開発エリア「BSDシティー」の様子を紹介しましょう。

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BSDシティーに広がる新興住宅地


BSDシティーは、イオンモールのインドネシア一号店が開業した地でもある。周囲は少しずつ不動産開発が進んでいる(クリックして拡大)

 さてここからは、モーターショー会場のあるBSDシティーの様子について紹介していきましょう。ここはジャカルタの西にあるタンゲラン県にある都市で、ジャカルタ中心部からはおよそ20kmの距離にあります。古くからある市街地に隣接する形で開発が進められ、次第にオフィスや商業施設の集積が進んできている地区です。

 また、新興住宅街も続々と整備され、ここでは日本の住宅団地のように同じデザインの戸建て住宅が並んでいます。インドネシアの中間層が憧れるライフスタイルというものが、かつての日本と同じようなものということにはちょっと驚かされました。

 ただし日本と大きく異なるのは、住宅街全体が塀で囲まれた、いわゆる「ゲーテッド・コミュニティー」になっていること。出入りするゲートには複数の警備員が常駐し、治安を確保しています。このため住宅の前にはマイカーの駐車スペースが確保されているのですが、日本の戸建て住宅と異なって一軒ごとの塀や柵はなく、米国の郊外住宅のように開放的な雰囲気です。

塀と警備員に守られた閑静な住宅街には、同じ外観の一軒家が並ぶ。入居者は比較的余裕のある暮らしのできるファミリーで、ほとんどの世帯がマイカーとマイオートバイを所有しているようだ(クリックして拡大)

 またこうした住宅街の周囲にある道路では、自転車レーンも確保されています。ただし自転車ユーザーを見かけることはまだあまりなく、インフラ整備が先行している印象です。オートバイは走行不可であることを知らせる標識がそこかしこに立てられていました。いずれ地域住民のライフスタイルが変化して移動手段も多様化すれば、多くの自転車が行き交うことになるのでしょう。移動手段に合った、バランスのよい道路インフラとして発展してほしいものです。

周辺の道路には自転車レーンも設けられている。ただしオートバイが悪用するケースが多いのか、「オートバイ走行禁止」の標識やコーンが置かれている。まだまだ大衆の個人移動手段はオートバイが中心ということなのだろう(クリックして拡大)

筆者プロフィール

古庄速人(ふるしょうはやと)

工業デザイナーを目指し、専門学校の自動車デザイン学科に入学。修了後はカーデザイン専門誌の編集に携わりながら、フリーランスのライターとしても活動を開始。現在は自動車関連誌や二輪誌、Webメディアなどで記事やコラムを執筆中。技術と感性の双方の視点から、さまざまなトランスポーテーションのデザインをチェックしている。また新しい「乗り物」や新興国のモータリゼーションに強い興味を持ち、世界各国のモーターショーやモーターサイクルショーの視察を続けている。日本カーデザイン大賞の選考委員も務める。



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