変化を続ける北京市内の路上風景、何と自転車が復権していた:新興国自動車事情(2)(1/4 ページ)
2015年の自動車販売台数が2460万台という、もはや日本とは次元の違うスケールに成長した中国の自動車市場。その首都である北京の路上の風景はどうなっているのでしょうか。2016年4月開催の「北京モーターショー2016」に合わせて訪中した際に、北京の路上観察をしてみました。今回はその様子を紹介します。
渋滞緩和に頭を悩ませるのは世界の大都市と共通
最初に、北京の基本的な道路インフラについて説明しましょう。中国の首都は、紫禁城とその前にある天安門広場が都市の中心になっています。そしてこれを取り囲むように7本の環状道路があります。最も内側の一環路は昔からの大通りで、その外側の二環路は紫禁城の城壁跡に沿って建設されました。つまり二環路の内側が、かつて市街だったエリアということになりますね。二環路が完成したのは1980年代で、その外側にある三から七まで5本の環状道路はいずれも1980年代以降に開通。いちばん外側の七環路は2015年に全線開通しています。
二環路から四環路までは、日本の高規格道路(高速道路を中心とする自動車専用道路のこと)と似た印象で、立体交差による信号機のない構造を採用。五環路から外側は全て高速道路と同等の設備になっています。しかし信号機や交差点がないにも関わらず、市街地に接する四環路までは渋滞が日常茶飯事。市内でも幹線道路の整備は進んでいるのですが、それよりも規模の小さい主要道路の整備が車両の増加に追い付いていないようです。特に、沿線に繁華街や住宅街の多い三環路や四環路の「出入口渋滞」が酷く、この間に「3.5環路」と呼ばれる道路を建設して緩和しようとする計画が進められています。
日本の大都市でも、昭和の高度成長期はこんな感じで変わっていったのでしょうか。
市内では2008年の北京オリンピック前から大規模な再開発計画があちこちで進められ、昔ながらの路地の風景はどんどん消えていってしまいました。現在は古い建物は残っていても、路地の多くは幅広い車道に変えられ、どこか味気ない風景になってしまいました。
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