検索
連載

変化を続ける北京市内の路上風景、何と自転車が復権していた新興国自動車事情(2)(2/4 ページ)

2015年の自動車販売台数が2460万台という、もはや日本とは次元の違うスケールに成長した中国の自動車市場。その首都である北京の路上の風景はどうなっているのでしょうか。2016年4月開催の「北京モーターショー2016」に合わせて訪中した際に、北京の路上観察をしてみました。今回はその様子を紹介します。

Share
Tweet
LINE
Hatena

中国地場メーカーのブランド車はもはや恥ずかしい存在ではない

 さてそれでは、北京市内ではどんな車種が走っているのでしょうか。実は車種バラエティは数年前と様変わりしていて、かなり驚きました。以前は市内を走っているのは外資ブランド車がほとんどで、中国地場メーカーのブランド車はほとんど見かけない存在でした。かつては、市内に居住し、なおかつマイカーを所有できるのは比較的裕福な人に限られ、安さだけを武器にした中国地場メーカー車はあまり魅力的な存在ではなかったのです。

 ところが現在は、市内中心部でも中国地場メーカーの自主ブランド車が当たり前のように存在し、Volkswagen(フォルクスワーゲン)やBuick(ビュイック)といった外資ブランドの大衆車と同等の存在感を見せるようになってきました。このことからは、中国地場メーカー車はもはや外資ブランド車の代替品ではなく、対等の存在として意識されていることを実感させます。

一汽大衆のセダン「速騰」と並んで駐車する、長安汽車「逸動」駐車中の華晨汽車「中華BS4」の脇を通り過ぎてゆく逸動 一汽大衆(第一汽車とフォルクスワーゲンの合弁企業)のセダン「速騰(サギター)」と並んで駐車する、長安汽車「逸動(イードゥ)」(左)。駐車中の華晨汽車「中華BS4」の脇を通り過ぎてゆく逸動(右)(クリックで拡大)

目を見張る郊外の発展ぶりとEVの普及

 ふと思い立ち、市内中心部から地下鉄に乗り、四環路のすぐ外側のエリアを訪れてみました。行政区画上は北京市内ですが、5年ほど前に訪れたときはまだ草原が広がり、開発が始まったばかりの郊外です。

 しかし現在は、高層のオフィスビルやアパートが林立する、新しい街区が誕生していました。まだ信号機が機能していないなど未完成な部分もあるようですが、オフィスビルは稼働中。ビルの駐車場は既に収容能力が不足してしまっているようで、路上駐車された車両が歩道を埋め尽くしていました。

真新しいオフィス街にたたずむ「騰勢(デンザ)」のEV歩道は路上駐車で埋め尽くされている 真新しいオフィス街にたたずむ「騰勢(デンザ)」のEV(左)。騰勢は比亜迪汽車(BYD)とDaimler(ダイムラー)の合弁事業として立ち上げられたEVブランドだ。まだ街路も完成していないにもかかわらず、歩道は路上駐車で埋め尽くされている(右)(クリックで拡大)

 さらに驚いたのは、電気自動車(EV)を頻繁に見掛けたことです。公共施設の駐車場には充電ステーションがあり、大規模ステーションでは「緑狗租車(GREEN GO)」と書かれたコンパクトカーが充電中でした。これはEVを使ったシェアリングサービスで、北京市内の約50カ所にステーションがあるようです。

市内では充電ステーションの整備が進む市内では充電ステーションの整備が進む 市内では充電ステーションの整備が進む。シェアリングサービス「緑狗租車」の車両は北京汽車の「紳宝D20EV」。メルセデス・ベンツの技術を導入して作られた自主ブランド車だ(クリックで拡大)

 また観光客が訪れるような大規模な商業施設などでは、ハイブリッドバスのための充電器が設置されていました。本来はバス専用の駐車スペースなのですが、乗用車が侵入してコンセントを拝借するのも黙認されているようです。

バス用の充電器をこっそり拝借
バス用の充電器をこっそり拝借しているのは、江淮汽車の「iEV5」(クリックで拡大)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る