SDVへの移行を支える、CPUとマイコンと機能安全に対応するハイパーバイザー:車載ソフトウェア(1/2 ページ)

自動車の機能をソフトウェアによって定義するSDVへの移行において重要な役割を果たすと考えられているのがハイパーバイザーだ。このハイパーバイザーで、CPUにもマイコンの両方で使え、自動車向け機能安全規格のASIL-Dに対応する製品を展開しているのが、韓国のスタートアップのPerseusである。

» 2026年10月19日 06時15分 公開
[朴尚洙,MONOist]

 自動車の機能をソフトウェアによって定義するSDV(ソフトウェアデファインドビークル)の開発を進める際には、車載システムの制御に用いられるECU(電子制御ユニット)の配置や構成と関わる車載アーキテクチャを、従来の1個のECUに1つの機能を搭載する分散型アーキテクチャから、1個のECUに複数の機能を統合するドメイン型、HPC(高性能コンピュータ)で中央集権的に統合制御するゾーン型への移行が求められるようになる。

SDVによって車載アーキテクチャは分散型からドメイン型/ゾーン型への移行が求められる SDVによって車載アーキテクチャは分散型からドメイン型/ゾーン型への移行が求められる。Perseusの「オートモーティブワールド[秋]2026」の展示より[クリックで拡大]

 ECUに複数の機能を統合するためには、互いの機能の動作が干渉を起こさないようにシステム的に分離しなければならない。そこで大きな役割を果たすのが、1個のコンピュータを仮想的に複数のシステムに分割するハイパーバイザーである。ただし、これまで自動車向けに用いられてきたハイパーバイザーは、カーナビゲーションなどCPUを搭載するシステムで利用できるものがほとんどだった。今後、SDVへの移行に向けてECUの統合が進む際には、これまでの分散型アーキテクチャのECUで一般的に用いられていたマイコンにも組み込めるハイパーバイザーが求められる可能性がある。

 このCPUにもマイコンにも対応するハイパーバイザー「PEGASUS」を提供しているのが、2016年12月創業の韓国のスタートアップPerseus(ペルセウス)である。同社 創業者兼CEOのソ・サンボム(徐相範)氏は「自動車向け機能安全規格であるISO 26262の最も厳しい安全要求レベルであるASIL-Dに対応するとともに、CPUとマイコンの両方で使えるハイパーバイザーは世界初だ。既にPEGASUSは、欧州自動車メーカーの量産車への採用が始まっている」と語る。

Perseus 創業者兼CEOのソ・サンボム氏 Perseus 創業者兼CEOのソ・サンボム氏

 ソ氏は、x86向けのオープンソースのハイパーバイザーとして知られる「Xen」の開発に参加した後、2007年に発表されたArm向けのXenとなる「Xen ARM」の開発を主導した人物である。「当時はまだフットプリントの小さいハイパーバイザーの需要はほとんどなかったが、今後は求められるようになると考えていた。自動車のSDVだけでなく、さまざまなシステムがソフトウェアデファインドになっていく中で、この考え方は正しかったと実感している」(ソ氏)。

 Perseusは自動車業業界とのつながりも深い。まず、自動車のECUにおいてハイパーバイザーの組み込み対象となる車載マイコンメーカーについては、インフィニオン、NXP、ルネサス エレクトロニクスという大手3社とパートナーとなっている。車載向けプロセッサコアで存在感を高めているArmとはパートナーとなるだけでなく、Armが推進するSDVの標準化団体のSOAFEEにも参加している。さらに、韓国のヒョンデやサムスン、LGともパートナー関係を築いており、ドイツのメルセデス・ベンツのスタートアッププログラムにも選ばれている。

Perseusは自動車業界とのつながりが深い Perseusは自動車業界とのつながりが深い[クリックで拡大] 出所:Perseus

 この他にも、車載情報機器の標準化団体であるGENIVI(現COVESA)の自動車ハイパーバイザー標準化プロジェクトも主導するなど、ソ氏がオープンソースコミュニティーの出身であることを生かした活動も活発に行っている。

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