業種を問わず多数の企業に支持されるPLM「Aras Innovator」。自社の業務要件に合わせて柔軟に導入できる上、機能をフル活用するための充実したサポート体制などが企業に高く評価されている。Aras Innovatorの魅力を深掘りして紹介する。
Arasが日本国内で2012年から提供し、大きな売り上げシェアを獲得しているPLMソフトウェア「Aras Innovator」。同社のPLM製品は、なぜ製造業をはじめ多くの企業に支持され、成長し続けているのだろうか。
Arasの日本法人であるアラスジャパンでコミュニティ プリセールス コンサルタントを務める連将一氏は、Aras Innovatorの“強み”として3つのキーワードを挙げる。
1点目は、「Aras Innovator SaaS」だ。いまは他のPLMベンダーもクラウドサービス化を志向しており、SaaSであること自体に目新しさは感じないだろう。Aras Innovator SaaSで注目すべきなのは、オンプレミス製品との機能差をなくしている点だ。「オンプレミス版のAras Innovatorが提供してきた機能を全て、Aras Innovator SaaSでもご利用いただけます」
2点目は、「ローコード基盤」だ。導入企業のベストプラクティスが集約された標準プロセスをそのまま利用することもできるが、ローコード基盤を活用すれば自社の業務に合わせたカスタマイズも可能だ。「Aras Innovatorで新たなアプリケーションを素早く開発し、PLMを進化させることも可能です」
3点目は、「デジタルスレッド」だ。製品に関するあらゆる情報を、部門をまたいでひも付けて管理できる。Arasはデータモデルもオープンにしており、外部の周辺システムから取り込んだデータをPLMシステムで関連付けて活用するのも容易だ。
Arasが3つのキーワードにこだわり続ける理由は何か。その背景には「Fit to Standard」がある。
Fit to StandardはERPで主流の考え方で、パッケージに標準搭載されたベストプラクティスに自社の業務プロセスを合わせることを基本とする。迅速なシステム導入とアップデートの容易性を実現する手法だ。ただ、過度な期待を抱くのは禁物だ。ERPのリプレースではうまくいったとしても、PLMの導入プロジェクトでも同様の手法で問題ないとは限らない。
その理由の1つが、製造業を取り巻く情勢が目まぐるしく変化し続けていることだ。SDGsやカーボンニュートラルの実現といった社会的要求の高まりは、あらゆる企業の責務になっている。
連氏は「こうした変化は10年前にはほとんど考えられなかったことです。次の10年でどんな変化が起こるかは全く予測できません。現状で最適と思われる『Standard』に業務プロセスを合わせてしまうと、こうした大きな変化に柔軟に対応できなくなります。さらに、ベストプラクティスとはいえ他社の『Standard』を導入したことで自社の競争力が発揮しにくくなる恐れもある。自社ならではの強みを実現できるAras Innovatorのようなシステムが必要なのです」と説明する。
これからのPLMに求められるポイントについて、連氏は「詳細な情報を外部に提供しなければならない機会はどんどん増えていきます。従来よりも社内のデータを広範囲にわたって適切に管理できる仕組みが大切です」と説明する。AI(人工知能)などの先端技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)を実行するには、データの質を保つ必要もある。
この要件を満たして環境の変化にアジャイルに追従すべく、自由に独自のデジタルスレッドを構築できるのがAras Innovatorなのだ。
連氏は、Aras Innovatorの最大の強みはローコード基盤だと語る。ユーザー画面のレイアウト設計や各データのアクセス権限の設定、ワークフロー設計をほぼノーコードで実現できる。独自ロジックに基づくプログラムもローコードで実装可能だ。Aras Innovatorの標準機能外のニーズにもしっかり対応する。
Aras Innovatorは、ローコード基盤によってデータモデルを自在に作り替えて独自のデジタルスレッドを構築できる。部門間で情報資産が分断されたサイロ状態を解消し、関連情報がライフサイクル全体で共有されている状態を作る。
これらの特徴のため、Aras Innovatorは適用する企業の業態を選ばない。「組み立て製造業からプロセス製造業、量産から個別受注まで対応できる柔軟性を有しており、自動車、ハイテクや産業機械、プラント、建築、造船、半導体、日用雑貨、アパレル、化学・食品など業種や業界を問わず多様なモノづくり企業でAras Innovatorは利用されています。ソフトウェア開発や金融などの領域でも引き合いがあります」
Aras InnovatorにはBOM(部品表)に加えて技術文書などのドキュメント、設計変更や要件、構成の管理機能もある。製品のバリエーション管理も容易にできる。コンポーネントエンジニアリングやQMS(品質マネジメントシステム)、プロダクトエンジニアリング、シミュレーション管理、MPP(製造プロセス計画)、デジタルツインコア管理などの機能が標準搭載されている。
Aras Innovator SaaSはコンテナ化の技術を利用するなど最新のIT技術にも追従して開発されている。DevOpsによるガバナンスを利かせたCI/CD環境で機能実現速度と品質を向上させ、第三者機関による認証とArasマネージドサービスによるセキュアな環境での運用を実現した。
Aras Innovatorの特徴を最大限に引き出し、自社に最適なPLMシステムを実現する上で欠かせないのがサポート体制だ。Arasはその重要性を熟知しており、2014年からカスタマーサクセスマネジメント(CSM)を組織として体系立て、サービスを通じた「保守業務」に限定されない継続的なサポートを提供している。
CSMの意義について、アラスジャパン カスタマーサクセスマネジメント カスタマーサクセスマネージャーの神原由美氏は、「PLMシステムは導入して終わりではありません。常に最新の機能とセキュリティが備わった状態のAras Innovatorをフル活用することで、お客さまのビジネスの持続的な成長を支援することが私たちの役割です」と説明する。
実際にどんな場面でCSMが真価を発揮するのか。よくあるのが、図面管理からPLMシステムの導入を始めた企業でのケースだ。当初はCADデータの管理だけで満足していたが、システムに習熟するに伴い、「設計や調達、生産、販売など各部門が独自に管理しているBOM(部品表)データを横串で活用したい」「他システムと連携してデータのトレーサビリティーを強化したい」といった要望が次々に出てくる。
「次々に広がるニーズに対して、お客さまの現在地を把握した上で、単なる機能活用にとどまらないスモールスタートのストーリーを構築します。ビジネスの成功を第一に考え、システム構成の最適解やアップグレードを提案します」と神原氏は語る。
ポータルサイトを通じて技術的に高度な相談を受け付けたり、新機能やユースケースなどをお知らせしたりする。Arasの独自指標によるユーザーのビジネスレビューなども、CSMのスキームの下で提供する。
CSMはAras Innovatorのサブスクリプションモデルと密接な関係がある。神原氏は「Arasのサブスクリプションモデルは定期的な契約サービスに基づく顧客体験を提供します。Aras Innovatorのサービスや機能はどんどんアップデートしますが、サポートのバージョンは限定されません。お客さまは、Aras Innovatorを安定して利用するためのさまざまな保守サービスを受ける権利を購入するのです。アップグレードやコンサルティングといったサービスも追加費用を払うことなく定額で受けられます」と説明する。
一般的に、売り切り型ライセンスに付随する保守契約は購入した時点のバージョンとその機能の性能維持を目的としたメンテナンスが中心になる。売り切り型ライセンスによく見られる、古いバージョンのシステムを延々と使い続ける「塩漬け」が起こりにくくなるわけだ。
今後Arasが注力するのが、サプライヤーやビジネスパートナーとの円滑なコミュニケーションを実現する「Supplier Management Solutions」の展開だ。モバイル端末に最適化された専用のWebアプリケーション「Aras Portal」を通じて、サプライヤー関連情報の一元管理とセキュアなリモートアクセスを可能にする。
「Aras Portalによってサプライヤーとのコミュニケーションとデータ共有を活性化します。サプライヤー管理で要求されていた煩雑なビジネスプロセスを整理し、効率化できるのです」(連氏)
サプライヤー情報やコンタクト先の追跡、モニタリング、スレッド形式のディスカッションでのコミュニケーション、サプライヤー調査やパフォーマンスカード、CAD、部品表、ドキュメントの共有、是正措置や価格提案の依頼といった機能を提供する。
パフォーマンス監視を通じて、サプライヤーの品質と信頼性の向上を実現する。透明性の高いコミュニケーションに基づいてサプライヤーとの関係強化も図れる。統合されたビジネスワークフローの実現によって、市場投入までの製品リードタイムを短縮する他、エラーの低減や再作業の工数削減、ERPと統合した調達の合理化など、多くのメリットをもたらすことが期待される。
欧州を中心にバッテリーパスポートの制度化が進み、Gaia-X、Catena-X、日本のOuranos Ecosystem(ウラノス・エコシステム)などのデータエコシステムも立ち上がり始めた。今後、企業はサプライチェーン全体でデータを共有、連携させる体制の整備が必要になる。Arasの動きは、こうした動向を見通した展開でもある。
PLMに真に求められる機能を企業目線で考え続け、ユーザーの立場に寄り添いサポートを提供する。時代の変化に合わせてしなやかにアップデートし、変わり続けるAras Innovator。これこそが、製造業をはじめ多種多様な業界で長く支持される理由なのだ。
アラスジャパンでは、6月13〜14日にアラスコミュニティイベント「ACE 2024 Japan」をANAインターコンチネンタルホテル東京で開催する。
詳細、お申込みは、イベント特設サイト(https://events.aras.com/ACE2024-JP)をご確認ください。
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提供:アラスジャパン合同会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2024年6月20日
アラスジャパンでは、6月13日〜14日にアラスコミュニティイベント「ACE 2024 Japan」をANAインターコンチネンタルホテル東京で開催する。
詳細、お申込みは、イベント特設サイトをご確認ください。