ニューノーマル時代のグローバルサプライチェーンに求められるものとはサプライチェーン革新

MONOistが2020年12月16〜17日に開催したライブ配信セミナー「サプライチェーンの革新〜Withコロナ時代に必要不可欠なサプライチェーンのデジタル化〜」において、「ニューノーマル時代の次世代グローバルサプライチェーンマネジメントとは」をテーマに、NTTデータ グローバルソリューションズ ビジネストランスフォーメーション室 SCMチームリーダーの杉山成正氏が講演を行った。

» 2021年01月18日 10時00分 公開
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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によりサプライチェーンはどういう変化が求められるのだろうか――。

 2020年12月16〜17日に開催された、MONOist主催セミナー「サプライチェーンの革新〜Withコロナ時代に必要不可欠なサプライチェーンのデジタル化〜」では、NTTデータ グローバルソリューションズ ビジネストランスフォーメーション室 SCMチームリーダーの杉山成正氏が登壇。「ニューノーマル時代の次世代グローバルサプライチェーンマネジメントとは」をテーマとし、COVID-19により顕在化したグローバルサプライチェーンの課題とその解決策について紹介した。

グローバルサプライチェーンが本質的に抱えるリスク

photo NTTデータ グローバルソリューションズ
ビジネストランスフォーメーション室の杉山成正氏

 COVID-19はサプライチェーンに大きな影響を与えている。ロックダウンにより人やモノの移動が制限され、製品を作りたくても作れない状況が生まれた。一方で、市場環境の変化により、需要の急増や急減も起こり、多くの製造業が緊急的対応でこれらをしのぐ状況となった。杉山氏は「サプライチェーンは常に災害の影響を受けてきましたが、今回のコロナ禍は世界同時多発的にも世界中で進んでいるということが違いです。影響の大きさと範囲の広さがかつてないものとなっています」と語る。

 さらに、杉山氏はグローバルサプライチェーンそのものが抱える脆弱(ぜいじゃく)性について指摘する。「グローバルサプライチェーンを構築する中で最重要視されているのは、経済的な合理性です。相対的に安価な経営資源や労働力を活用するために、災害対応や公衆衛生などのインフラが整備途上であるなど、有事に影響が深刻化しやすい地域への進出が多くなります。そういう意味ではグローバルサプライチェーンそのものが、災害や感染症が発生すると深刻な問題が発生するというリスクを本質的に抱えていることになります」と杉山氏は語る。

 こうした状況に対しこれからの「サプライチェーンの在り方」はどうあるべきなのだろうか。杉山氏は「『レジリエンス(復元力)』の考え方が重要です」と訴える。レジリエンスは「しなやかな強さ」を示している。「サプライチェーンでいえば、問題が発生した時に混乱したサプライチェーンを可能な限り短期間で安定した需給状態に戻す力です。問題が発生した場合、素早く明確な対応策と見通しを提示し、問題の影響範囲と期間を見定め、新たな安定した需給状態を設定し、速やかに移行するということが必要です」と語る。

 サプライチェーンのレジリエンスを実現するには、問題発生直後の短期的な対応、中期的な対応策の実行、長期的な視点での強化策の3つの視点を組み合わせて進める必要がある。杉山氏は「時間軸で必要となることを整理することが必要です。短期的な取り組みは発生から数週間の期間で、問題やその影響を把握し、現行の体制で可能な限りその影響を抑える対応を進めることになります。数週間〜数カ月の中期のフェーズでは、問題への対応策としてサプライチェーン変更などを伴う対応を進めます。そして、数カ月から数年単位の長期のフェーズでは、想定されるリスクを根本的に解決するための対応を検討し、脆弱な部分を強化する取り組みを進めます」と考えを語っている。

photo レジリエンスに必要な考え方(クリックで拡大)出典:NTTデータ グローバルソリューションズ

次世代サプライチェーン構築に必要なもの

 では、3つのフェーズにおける取り組みを進めるために、これらを支えるサプライチェーンマネジメント(SCM)システムには、どういう機能が求められるのだろうか。

「従来の需給計画に加えて、調達・生産・在庫・物流情報共有・シミュレーションなどの機能が必要です。そのためには、まずはグローバルサプライチェーンの情報統合が必要になります。グローバルでサプライチェーンの情報が統合され、共有できていなければ全体最適となるような判断を行うことは難しくなります。情報の統合が最初のステップです」と杉山氏は語る。

 さらに、その上で重要になるのが「サプライチェーンモデリング機能」だという。「従来のサプライチェーンでは需給バランスをどう取るのかにフォーカスしていましたが、今後重要になるのは統合された基盤で得られた情報を基に、モデル化されたサプライチェーンの変更を需給計画に速やかに反映させることです。不確実性が高まる状況であり、全てを計画することは不可能です。実際の情報を基にタイムリーに柔軟に対応することが求められています。SAPソリューションでいえば、IBPのシミュレーション/モデリング機能とS/4HANAのロジスティクス機能を両輪としたSCMシステムが必要です」と杉山氏はSCMの要件について語っている。

photo 次世代SCMシステムに求められる機能(クリックで拡大)出典:NTTデータ グローバルソリューションズ

 しかし、グローバルサプライチェーンの統合情報基盤を構築したり、サプライチェーンモデルを構築したりすることは、簡単なことではない。そこで、NTTデータ グローバルソリューションズが推進しているのが「SCMオポチュニティー・ディスカバリー・サービス」である。これは、SCMシステムにおいてビジネス環境、サプライチェーンの状況などに応じた改革テーマと想定ソリューション、投資機会、想定効果を事前に把握するサービスである。このサービスにより効果が見込めたものから優先的に取り組むことで「費用対効果」のバランスが取れた取り組みを進められる。

 杉山氏は「グローバルサプライチェーン情報統合や需給マッチング機能の強化などに取り組む上で、現在ニーズが高まっている基幹システム更新は大きな追い風といえます。しかし、投資効果を見込むことが難しいSCMの取り組みは後回しにされることが多く、話が来る段階ではレジリエンス実現が難しいプロジェクトも多くあります。SCMオポチュニティー・ディスカバリー・サービスを通じて、プロジェクトの初期段階から成果が生まれる領域を見定めていくことで、基幹システムと組み合わせた全体最適につながる大きな取り組みが進められます」と価値について訴えている。

photo 「SCMオポチュニティー・ディスカバリー・サービス」の進め方(クリックで拡大)出典:NTTデータ グローバルソリューションズ

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アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2021年2月17日