アジャイル開発から始まる、製造業のデジタルトランスフォーメーションへの道DX推進

「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の波は製造業にも押し寄せている。リーンやカイゼンのアプローチは日本の製造業の得意とするところだが、このアプローチはDXを進める上でも有効である。イノベーティブなデジタルサービスの開発を支援する「Pivotal Labs」や、パブリッククラウドサービスである「Microsoft Azure」との連携によってクラウドネイティブな基盤である「Pivotal Cloud Foundry」を提供しているのがPivotalジャパンである。

» 2019年05月27日 10時00分 公開
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 情報をデジタル化し、テクノロジーの活用で業務プロセスの変革を進め、新たなビジネスモデルや価値を創出しようという「デジタルトランスフォーメーション(DX)」は、今や業界や業種を問わず広く受け入れられている考え方で、製造業も例外ではない。例えば、工場や製造現場のPLCから上がってくるセンサーデータや写真、動画などをクラウド上などに集約し、データ分析で得られた結果を現場にフィードバックすることで実現される工場のスマート化や自動化などがある。さらにその先では、新たな製品やサービス、付加価値の創出に向けた取り組みも進んでいる。

 だが、実際にDXを実践しようと考えるものの、どこから手をつけてよいのか分からないことも多い。データを収集するIoT(モノのインターネット)の端末となるセンサーをただ取り付けるだけではなく、クラウドを含めた全体の仕組みや業務プロセスを再構築するとともに、アジャイルな開発プロセスに切り替えて運用していく必要があるからだ。ウオーターフォール型の開発プロセスが当たり前の製造業にとって、小さな単位の開発を計画から設計、実装、テストを継続的に繰り返しながら、市場ニーズや状況に応じてアップデートを行うアジャイル開発は、IT業界ほどになじみ深い状況にはなっていない。アジャイル開発の導入は、ビジネスモデルや業務プロセスを含めて根本的な改革が必要となるため、時間がかかっていることもあるだろう。

Pivotalジャパン株式会社 マーケティングマネージャーの渡辺隆氏 Pivotalジャパン株式会社 マーケティングマネージャーの渡辺隆氏

 もっとも、アジャイル開発の基になっているのは、トヨタ自動車をはじめ日本の製造業が生産活動で取り組んできた「カイゼン」だ。Pivotalジャパン株式会社 マーケティングマネージャーの渡辺隆氏は「Pivotal米国本社からCEO(ロブ・ミー氏)が来日したとき、なぜアジャイル開発は日本で普及しないのかといった質問が記者から出ました。しかしCEOは『シリコンバレーはアジャイル開発を作り出す上で日本のカイゼンから学びました。ずっとカイゼンに取り組んでいる日本で、なぜアジャイル開発を実践できないのかむしろ知りたい』と逆質問したほどです」と語る。

DX推進の悩みに手をさしのべる「Pivotal Labs」と「Pivotal Cloud Foundry」

 こうした悩みに真正面から向き合うのが、Pivotalジャパンのサービス「Pivotal Labs」だ。同サービスでは、短い反復によってリスクを低減しながらソフトウェアを作り上げるアジャイル型開発手法(エクストリームプログラミング)、ユーザーが何を求めているのか、新しいサービスはどのようなものか仮説を立て、ユーザーの声を聞きながらサービスをデザインするアプローチ(ユーザー中心デザイン)、MVP(顧客に価値を提供できる必要最小限の機能を実装した製品)を作って製品の方向性や機能などを検討するリーンスタートアップなど、今日求められるサービス開発に必要な要素を実体験しながら習得できる。3〜4カ月の期間、ユーザーはPivotalの六本木オフィスに常駐し、新たなアプローチを徹底的に学ぶ。そんな徹底した学びのスタイルを取り入れていることから、渡辺氏はPivotal Labsを“道場”と呼んでいる。

 渡辺氏は「エッジのIoTデバイスやセンサー、最近では使い勝手もかなりよくなってきたAI(人工知能)など、DXを実現するための素材はすぐにそろえられるだろう。しかし、これらの素材をそろえられても、ベンダーにPoC(概念実証)の構築を丸投げしてしまうと、出来上がったPoCを見て本当にそれが必要なのか分からなくなる。リーンやアジャイルなアプローチを身に付けなければ、真の成果は得られません」と指摘する。

 Pivotal Labsで組織化やプロセスを習得した後は、リーン+アジャイル開発を基にデジタルサービスを実行するためのプラットフォームが必要になる。「Pivotal Cloud Foundry」は、そんなDXの実践を支える最適なクラウドアプリケーションプラットフォームとして製造業を含む多くの企業から支持されている。

 Cloud Foundryそのものは、クラウド(IaaS)上でアプリケーションを実行、管理するためのクラウドネイティブなOSS(オープンソースソフトウェア)プラットフォームだ。コードを容易にコンテナとしてイメージ展開できる、他クラウドとの移植性が高い、マルチクラウドでロギングや管理を実行可能などのメリットから、多くのベンダーが標準化団体であるCloud Foundry Foundationに参画している。

 Cloud Foundry Foundationにおける取り組みをリードする1社がPivotalであり、Pivotal Cloud FoundryはCloud Foundryの商用版となる。容易に環境を構築できるインストーラやサポート、バグや脆弱性の発見時における迅速なパッチ適用などセキュリティ対応、エンタープライズ用途に耐えうる拡張性、さらには他社製サービスとの連携など、デジタルサービスの運用を支援するメリットを提供する。

 特に、早期よりCloud Foundry Foundationに参画し、Pivotalに出資して豊富なナレッジと実績を積み重ねてきたマイクロソフトのクラウド「Microsoft Azure」とPivotal Cloud Foundryは、Pivotal Service Brokers経由でさまざまな連携が可能になっている。「Pivotal Cloud Foundry on Azure」では、「Azure Storage」「Azure SQL Database」「Azure Service Bus」など各サービスをネイティブで活用できる他、ランタイムからサービスを自動デプロイする、プラットフォーム適用型ポリシーと自動ライフサイクル管理で可視化と制御のオートメーションを実施することも可能だ。

「Pivotal Cloud Foundry」と「Microsoft Azure」の連携機能 「Pivotal Cloud Foundry」と「Microsoft Azure」の連携機能
日本マイクロソフト株式会社 パートナー事業本部 パートナー技術統括本部 ISVビジネス技術本部 テクニカルエバンジェリストの森山京平氏 日本マイクロソフト株式会社 パートナー事業本部 パートナー技術統括本部 ISVビジネス技術本部 テクニカルエバンジェリストの森山京平氏

 既にPivotal Cloud Foundry on Azureでは多くの採用実績がある。日本マイクロソフト株式会社 パートナー事業本部 パートナー技術統括本部 ISVビジネス技術本部 テクニカルエバンジェリストの森山京平氏が好例として挙げたのが、フォード(Ford Motor)のドライバー向けスマートフォンアプリ/サービス「FordPass」だ。

 FordPassは、フォード車に搭載されているインフォテインメントシステム「Sync」との連携によってドアロックを開けたりエンジンを掛けたりすることができる。これらのサービスのバックエンドには、マイクロサービスやサードパーティーのアプリとAPI連携するクラウドサービス「Ford Service Delivery Network」を配置している。Pivotal Cloud FoundryとMicrosoft Azureを組み合わせたプラットフォーム上で運用することで、定期的にメンテナンス期間を設定し、変更リクエストは1週間以上前に申請するといったタイムラグを徹底的に排除し、サービスのダウンタイムゼロでアップグレードやデプロイを実現できる。「柔軟性と拡張性に優れたサービスになりました」(森山氏)。

フォードが提供するドライバー向けスマートフォンアプリ/サービス「FordPass」の画面 フォードが提供するドライバー向けスマートフォンアプリ/サービス「FordPass」の画面

数あるクラウドから「Microsoft Azure」を選ぶべき理由

 森山氏は、数あるクラウドプラットフォームの中からMicrosoft Azureを選ぶべき理由について「世界全域にデータセンターがあり、地域に縛られないクラウド展開が可能です。また、Microsoft AzureはMicrosoftが培ってきたソフトウェアの開発やクラウドの開発から数多くの失敗と改善を繰り返した成果が凝縮されている『ベストプラクティスの塊』であることも大きな強みです」と説明する。

 また、オンプレミス向けにはパブリッククラウドであるAzureとのAPI互換性を持つクラウドアプライアンスとして「Microsoft Azure Stack」を提供しており、オンプレミスでクラウドネイティブなアプリケーションを動かすことも可能だ。工場の業務プロセスによっては遅延が許されず、また地域的な問題からネットワーク通信が安定しない環境も考えられるが、Microsoft Azure Stackであれば、一時的にデータを保管、処理し、全工場の情報はクラウドに適宜吸い上げて全体分析を実施するといったことも可能になる。Microsoft AzureやMicrosoft Azure Stackは、シームレスな連携や拡張性の高さなどから、トヨタ自動車、コマツ、フォルクスワーゲン(Volkswagen)、ロールスロイス(Rolls-Royce)、テトラパック(Tetra Pak)など、大手製造業で広く採用されている。

日本マイクロソフト株式会社 クラウド&エンタープライズビジネス本部 OSS戦略担当部長の坂田州氏 日本マイクロソフト株式会社 クラウド&エンタープライズビジネス本部 OSS戦略担当部長の坂田州氏

 また、製造業のトランスフォーメーションを安心かつ安全に実現する上で必要なソリューションを幅広くそろえているのも強みだ。日本マイクロソフト株式会社 クラウド&エンタープライズビジネス本部 OSS戦略担当部長の坂田州氏は「セキュアなIDおよびアクセス管理サービスである『Azure Active Directory』の存在に加え、マイクロソフトは工場内ネットワークを上層でつなぐOPC UA規格に関するレファレンスも出している。また近年は『Azure IoT Edge』、『Azure IoT Hub』はじめIoT向け新サービスの発表リリースも多く、エッジデバイスからデータを吸い上げ収集・統合するところから、ストア、処理、可視化まで、いわゆるデータ分析基盤をAzureのサービス群を組み合わせて一気通貫で構築できる。そういった周辺サービスも併用頂くことで、製造業のお客さまのDX実現を後押ししたい」と付け加える。

日立ソリューションズと連携して日本の製造業のDXをさらに加速する

 Pivotalとマイクロソフトの連携により、DXを実現するための基盤やサービスはそろえられる。後はユーザー側が、そのためのリソースをどう確保するかが重要になる。渡辺氏は「近年米国ではサービス開発やインフラ運用などを内製化する方向に進んでいます。少なくとも、顧客がどのような課題を抱え、ニーズがあるのかを理解し、ビジネスをどのように改善したいかを知っているのは、ユーザー側です。社内にDXを主導できるチームを設置する方が期待する効果を出せると思います」と述べる。

 森山氏も「DXのためには、業務を理解しているユーザー側とシステムを理解している開発者、運用者がタッグを組む、いわゆるBiz+DevOpsの考え方とマイクロサービスおよびドメイン駆動開発を採用することがベストプラクティスとして考えられます。しかし、マイクロサービスやドメイン駆動開発に取り組む場合、組織やプロセスに従いドメインを定義、バウンダリコンテキストを用いロジックを分割し、データを含めモデリングするのですが、その際、スピードを犠牲にせず、人と組織、プロセスを変革し、改善し続けるチームを社内に作る必要があります。また、社内にそういった人財がいない場合、社外から人を雇うか新たに教育をするという事を余儀なくされます」と強調する。

 そうしたユーザー企業が持つ未来のイメージを具体的な形へと落とし込むためには支援するパートナーが必要だ。日立ソリューションズは、長年Microsoft Azureのパートナーとして多彩なソリューションを提供してきたが、2018年4月にPivotalとの協業を発表、Pivotal Cloud Foundry on Microsoft Azure上でユーザー企業とのデジタルビジネス協創のサービスを提供している。

「Pivotal Cloud Foundry」を活用した日立ソリューションズのデジタルソリューション 「Pivotal Cloud Foundry」を活用した日立ソリューションズのデジタルソリューション
株式会社日立ソリューションズ ITプラットフォーム事業部 デジタルシフト開発支援本部 本部長の小林仁氏 株式会社日立ソリューションズ ITプラットフォーム事業部 デジタルシフト開発支援本部 本部長の小林仁氏

 Pivotal Cloud FoundryとMicrosoft Azureを選択した理由を、株式会社日立ソリューションズ ITプラットフォーム事業部 デジタルシフト開発支援本部 本部長の小林仁氏は次のように語る。「日立ソリューションズでは、デジタル時代のアプリケーション基盤に必要な機能を検証した結果、世界規模のネットワーク、グローバルな拡張性、セキュリティレベルの高さからMicrosoft Azureをクラウドコンピューティング基盤に、そして、開発したサービスのデプロイスピードの速さと運用効率の高さ、Microsoft Azureとの親和性の高さからPivotal Cloud Foundryをクラウドネイティブプラットフォームとして採用することを決定し、日立ソリューションズのデジタル共通基盤を構築しました」。

 2つのクラウド基盤を組み合わせることで、顧客はサービス開発に専念することが可能となる。「アイデアの創出から価値検証、本番運用までのスモールスタートから、ビジネスの拡大に応じたスケールアウトまで、お客さまとのビジネス協創プロセス全般を強力かつ迅速に支援しています」(小林氏)。

 「日立ソリューションズは、Pivotalジャパン、日本マイクロソフトとタッグを組み、Pivotal Cloud Foundry on Microsoft Azureをベースとしたデジタルソリューションにより、製造業・流通業をはじめとする幅広いお客さまのデジタルビジネス創出・拡大を目指します。さらに、日立ソリューションズのソフトウェアパッケージのモジュールをAPIやサービスカタログとして順次搭載し、お客さまのサービスにスムーズに活用できる形とすることで、お客さまのサービス開発プロセスの変革をご支援していきます」と小林氏は締めくくった。

左から、Pivotalジャパンの渡辺氏、日立ソリューションズの小林氏、日本マイクロソフトの森山氏、坂田氏 左から、Pivotalジャパンの渡辺氏、日立ソリューションズの小林氏、日本マイクロソフトの森山氏、坂田氏

事例セミナー
Pivotal Cloud Foundry on Microsoft Azureで加速するデジタル・サービス開発

日程/2019年06月20日(木)
時間/14:30 - 17:30 (受付開始 14:00)
会場/Pivotalジャパン イベントスペース(六本木ヒルズ20F)
〒106-6120 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー20階
主催/Pivotalジャパン株式会社 / 日本マイクロソフト株式会社
協賛/株式会社日立ソリューションズ
定員/50 名
お問い合わせ/Mail: twatanabe@pivotal.io
対象/製造業を始めとするユーザー企業のサービス開発責任者およびご担当者

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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2019年6月10日

セミナー情報

2019年06月20日(木) 14:30 - 17:30
Pivotalジャパン イベントスペース(六本木ヒルズ20F)