「第28回 設計・製造ソリューション展(DMS 2017)」に出展したシーメンスPLMソフトウェアは「Solid Edge」ブランド製品の目玉機能をデモも交えて披露した。ベースとなる3D設計機能の拡充に加え、3Dプリンタのデータとしてよく使うファセット(ポリゴン)データが、ソリッドCADで“普通に”編集できるようになった、コンバージェントモデリングに注目が集まった。音場を3Dでリアルタイムに可視化する「LMS Soundbrush」の実機デモ、マイクロソフトの2 in 1タブレットPCシリーズ「Microsoft Surface Pro」製品でのタッチスクリーン操作も多くの来場者の目を引き付けた。
製造業向けITソリューションの大型展示会「第28回 設計・製造ソリューション展(DMS 2017)」(会期:2017年6月21〜23日)が東京ビッグサイトで開催された。
今回、シーメンスPLMソフトウェアは同社「Solid Edge」ブランド関連製品に絞って出展。新バージョンの「Solid Edge ST10」を中心に、熱流体解析ツール「FloEFD for Solid Edge」、音場を3Dで見える化する「LMS Soundbrush」といった新登場のツールも披露。新製品をその目で直接チェックしようと多くの来場者が訪れた。例年通りSolid Edgeのステージデモも、3日間の会期でみっちりなスケジュールで実施し、Solid Edgeならではの魅力について伝えた。
そのはす向かいでブースを構えた日本マイクロソフトはSolid Edgeのモバイル化で協力関係にある。両社ブースで展示連携も行った。日本マイクロソフトは2 in 1タブレットPCである「Microsoft Surface Book」や「Microsoft Surface Pro 4」、マルチタッチコラボレーションデバイスの「Microsoft Surface Hub」を展示。同社のSurfaceブランド製品のデモでSolid Edgeを使用した。
一方、シーメンスブースでは、Solid Edge ST10のデモ機にSurface Pro 4を使用し、優れた携帯性をアピール。またステージメインスクリーンとして84インチのSurface Hubを活用し、タッチスクリーンとSolid Edgeの相性のよさを実演した。
「Solid Edge」は家電、産業機械/重機、自動車/輸送機器といった幅広い製造業における機械設計の現場で使用されている3D CADである。Solid Edgeは機械設計の現場に寄り添ったベーシックかつ使いやすい機能をしっかり提供しながらも、ユーザーニーズが高くかつ先進的な機能・仕組みも積極的に搭載してきた。月極のレンタルライセンスを数ある3D CADでいち早く採用したのもSolid Edgeであり、前バージョン「Solid Edge ST9」ではモバイル運用のニーズに目を付けたクラウド対応、3Dプリント用データが作成できるWindowsアプリ「3D Builder」との連携機能の追加など行った。
Solid Edgeは「ST」を付加したバージョンより、同社が独自開発した、フィーチャ履歴がないソリッドモデリング技術である「シンクロナス・テクノロジ」を採用。直感的かつ自由自在にモデリングができるシンクロナス・テクノロジと、きっちりと論理だったモデリングができる従来のパラメトリックモデリング手法(オーダード)とを併用した「いいとこどり」なモデリングが可能だ。
2017年5月に発表した「Solid Edge ST10」ではシンクロナス・テクノロジ10年目にしてさらに進化。同製品は、扱う3Dデータがファセット(ポリゴンデータ)かソリッドかを全く意識することなく作業でき、それが他種の3D CADには見られない特色の1つであるといえる。
3Dプリンタや3Dスキャナー、CAEなどを用途として、設計現場においてもSTLなどファセットデータを扱う機会が増えてきた。従来の3D CADはファセットとソリッドを混在させた作業はできず、中間ファイルを介すなどしながら、CGソフトやCADを行き来して作業していた。また従来、3D CAD側に読み込んだファセットデータは、ソリッドモデリングの機能を用いて形状編集ができなかった。
シーメンスのモデリングカーネル「Parasolid」の最新版を採用することで「コンバージェント・モデリング」を実装し、ファセットが直接扱えるようになり、ファセットのデータに対し、直接の形状編集・修正はもちろん、ブーリアンや寸法追加、パラメータ管理もできる。同社のハイエンド3D CAD「NX」にも同様の機能が実装されており、カーネルを自社開発している強みが十分に発揮された形になっている。
併せて、今回のバージョンアップではトポロジー(位相)最適化機能も加わり、想定荷重と質量の低減割合を指定することで最適な形状を自動的に導き出せる。人の頭ではぱっと考えづらい形状、従来の加工法にとらわれない形状が生まれる。軽量化はもちろん、機械材料コストの値上がりも予想されている今後、ニーズが高まっていくと同社では見ているという。また、そこで導き出した自由な形状は3Dプリントなど積層造形での活用も可能だ。3Dプリンタの機能や性能が向上するにつれ、そうした用途は今後、増えていくだろうということだ。
FloEFD for Solid Edgeは同社代理店であるCAEソリューションズが紹介。設計者でも使いやすい熱流体解析ツール、いわゆる“設計者向けCAE”である。Solid Edge上で、これまでの構造解析に加えて、熱流体解析も実施可能となった。同製品は完全自動メッシュを搭載し、簡易な操作ながら本格的な熱流体解析を手軽に実施できる。同製品はメンター・グラフィックス(Mentor Graphics)が開発元。現在、メンターはシーメンスPLMソフトウェアの傘下企業である。今後も、メンターの技術を活用し、Solid Edgeの機能を進化させていくという。
専用端末の先についたマイクロフォンで拾った音から、3Dデータで音場をリアルタイムで可視化するツールであるLMS Soundbrushのデモも行った。
Soundbrushは動作が軽快なのでSolid Edgeのメインユーザーである設計担当者でも気軽に使うことができるという。実機を用いたデモで、リアルタイムに音が3D化していくさまが“面白い”からか、多くの来場者の目をひいていた。
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提供:シーメンス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2017年7月25日