“机上工場”は製造業に何をもたらすのかDMS名古屋 2017 特別企画

卓上サイズの3Dプリンタや切削加工機などを活用した「デスクトップファブリケーション」の世界が広がりを見せている。設計工程での試作の容易化や高度化、製造工程との融合の動きは、製造業の工程に何をもたらすのだろうか。

» 2017年05月23日 10時00分 公開
[三島一孝PR/MONOist]
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 従来は工場で行っていた製造をオフィスで行える「デスクトップファブリケーション」の世界がいよいよ広がり始めている――。ローランド ディー.ジー.(以下、ローランドDG)は、設計・製造関連技術の展示会「第2回 名古屋 設計・製造ソリューション展(DMS名古屋)」(2017年4月12〜14日、ポートメッセなごや)に出展し、切削加工機やUV-LEDプリンタなどによるデジタルファブリケーションのもたらす価値を訴求した。

photo DMS名古屋のローランドDGブース(クリックで拡大)

デスクトップファブリケーションのもたらす価値

 デスクトップファブリケーションとは、文字通りオフィスの机の上など一般スペースで、製品形状の成形を行える技術である。卓上サイズの3Dプリンタや切削加工機、レーザーカッターなど、小型デジタル機器と技術の進歩によって生み出されたものだ。

 以前は、3Dプリンタが大きな注目を集めたが、以前からある切削加工機に加えUV-LEDプリンタなどさまざまな機器が出そろってきたことにより、試作の領域を広げるとともに、高度化することができるようになってきた。

 こうした状況を背景とし、このデスクトップファブリケーションを強力に推進しているのがローランドDGだ。ローランドDGは1986年より切削加工機の製造・販売をはじめ、2014年には3Dプリンタをラインアップし、デスクトップファブリケーションを積極的に推進する方向性を示した。その後、機器のバリエーションやカバー範囲などを拡大しながら、多くの設計現場や製造現場への導入を進めている。

 ローランドDG 国内マーケティンググループの伊藤智昭氏は「もともとデスクトップファブリケーション関連機器は、開発段階での試作や追加工、治具などの製作で使われるケースが多かったが、これらの用途の中でも、従来できなかった表現方法など、高度化を求める声が高まってきた。さらに小ロット部品やパーツ、ワーキングモデルの製作などにも利用されるようになってきている。使用用途のバリエーションは急速に拡大している印象だ」と述べている。

オートツールチェンジャー搭載、フルオート加工できる「MDX-50」

 DMS名古屋では、2016年9月に発売した切削加工機「MDX-50」とアルミ加工が可能なオールインワン型の切削加工機「MDX-540S-AP」、UV-LEDプリンタ「LEF-200」を中心にデジタルファブリケーションの魅力について訴えた。

 「MODELA MDX-50」は、切削加工で負担となる作業のひとつである「工具交換の手間を削減したい」というユーザーニーズに応えた製品だ。最大6本の工具を自動交換するATC(オートツールチェンジャー)を採用し、工具交換によるダウンタイムをなくし、荒削りから仕上げのワークフローを効率化する。さらに、材料を自動回転させる回転軸ユニット(オプション)を装着することで、裏面加工の自動化が可能。さまざまな作業が複合的に行えるようになることで、素材をセットすればそのまま目的の形状までフルオートで成形することができる。

photo 切削加工機「MDX-50」(クリックで拡大)
photo 製品形状をイメージしたMDX-50による加工試作物のサンプル。はめ込みなどの機能確認も可能な強度を持った加工物(クリックで拡大)

アルミも削れる「MDX-540S-AP」

 切削加工機ではさらに2015年10月に発売したオールインワンパッケージモデル「MODELA PRO II MDX-540S-AP」も紹介。ATCや各種キットを標準装備してさまざまな素材を高速、高精度で切削できる。樹脂素材などだけではなくアルミ素材なども切削することが可能で、アルミ型や治具製作などにも力を発揮しているという。

photophoto 「MDX-540S-AP」の外観(左)と加工中のアルミ(右)(クリックで拡大)
photo 切削したアルミ素材のワーク(クリックで拡大)

 伊藤氏は「切削加工機の魅力は、実際に最終製品でも使うリアル素材を使って形状を作り出すことができる点だ。素材感も含めた質感を再現できるため、より直感的に確認できる」とデスクトップファブリケーションにおける切削加工機の魅力について述べている。

テクスチャで質感を再現する「LEF-200」

 さらに素材感だけでなく表面の質感を再現するのに役立つのがUV-LEDプリンタ「LEF-200」である。通常のプリンタは素材表面への2次元印刷を行うというものだが、「LEF-200」は透明インクを搭載し、高さ100mmまでの立体物に凸凹を印刷することができるというのが特徴となる。これにより、色だけでなく、テクスチャ(物体表面を疑似的に表現した質感や模様)を表現できるようになり、よりリアルな加飾が行えるようになる。

photo UV-LEDプリンタ「VersaUV LEF-200」の外観(クリックで拡大)

 さらに、DMS名古屋では、テクスチャをより容易に活用できるように、写真現像機器などを開発するトヨテックが行っているテクスチャスキャンサービスを合わせて紹介した。同サービスは、物体表面をスキャンして深さの表現をデジタルデータ化するもの。これにより現実に近い風合いを表現できるという。

photophotophoto 「LEF-200」の印刷サンプル。さまざまな表面の質感を作ることができる他、自在に凹凸が作り出せることが特徴(クリックで拡大)

デスクトップファブリケーションは製造工程に何をもたらすのか

 これらの機器を活用することで、設計や製造の工程はどのように変わるのだろうか。伊藤氏は「エンドユーザー市場を見ても多様化が進んでおり、設計段階でさまざまな作り込みを行い、新たな価値を作り込んでいくことが求められている。その中で、3Dプリンタなどで表現できる形状だけでなく、リアル素材を用いた形状試作、さらにテクスチャを活用した質感の表現などを活用した素材感など、試作でできる領域が拡大することで、より高精度な商品力の作り込みが行えるようになる。3Dプリンタブームは終わったとされているが、デスクトップファブリケーションをはじめとする設計領域でのカバー範囲の拡大は進んでおり、合わせて導入も増えている」と述べている。

 なお、今回紹介した機器に加えて、ローランドDGのさまざまなデスクトップファブリケーションのソリューションについては、2017年6月21〜23日に東京ビッグサイトで開催される「第28回 設計・製造ソリューション展(DMS)」の同社ブース(東1ホール、小間番号46−44)であらためて紹介する予定である。さらに、ローランドDGでは、お客様により深い情報提供を行うため、工具から樹脂材料に関するセミナーや、スキャナーを交えた3Dデータ作成体験会などを開催。各地でお客様のニーズに合わせた数多くのイベントを開催している。

≫ローランドDG イベント情報

第28回 設計・製造ソリューション展(DMS2017)

会期: 2017年6月21日(水)〜23日(金)
会場: 東京ビッグサイト
ローランドDG ブースNo.: 東1ホール 46-44

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提供:ローランド ディー.ジー.株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2017年6月22日

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