RTOSプラットフォームから開発プロセス支援まで、ソリューションの幅を広げたイーソルESEC2015特別企画ブースリポート(イーソル)

国産リアルタイムOSとして初めてISO 26262とIEC 61508の最高安全水準のプロダクト認証を取得するなど、組み込みソフト開発をリードするイーソルがESEC2015に出展。機能安全開発支援はもちろん、メニーコア向けRTOSや画像処理・認識ライブラリまで、組み込みソフト開発者ならば見逃せない展示が来場者の関心を集めていた。

» 2015年06月15日 10時00分 公開
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 イーソルは「第18回 組込みシステム開発技術展」(ESEC2015 2015年5月13〜15日、東京ビッグサイト)に出展。国産リアルタイムOSとしては初めてISO 26262とIEC 61508で最高安全度水準のプロダクト認証を取得した「eT-Kernel」や開発プロセス支援ツール「eWeaver」などで構成する機能安全支援ソリューションに加え、メニーコア対応リアルタイムOS「eMCOS」ディープラーニング(深層学習)ライブラリなど、同社の取り組みを多数のデモとともに紹介した。車載分野など幅広いプロダクトに採用されているリアルタイムOSプラットフォームに加え、開発プロセスの面から開発者をサポートするソリューションが充実した展示となった。

photo ESEC2015 イーソルブース

 ブースにはさまざまな展示が設けられていたが、一番の注目は「eT-Kernel Platform」の機能安全ソリューションだろう。eT-Kernelは自動車向けのISO 26262、一般産業機器向けのIEC 61508、いずれについても最高レベルのプロダクト認証を取得しており(ISO 26262はASIL D、IEC 61508はSIL 4)、認証を得たOSに加え、各種セーフティ関連ドキュメントを組み合わせたパッケージ「eT-Kernel Platform Safety Package」も提供することで、車載システムや産業用ロボットなどの規格適合コスト低減や、市場投入時間の短縮を実現する。同プラットフォームの開発ツール「eBinder」も、ISO 26262/IEC 61508で規定されている最高レベルの安全要件を満たした開発が行われているため、安心して利用できるという。 eBinderの第三者認証機関によるISO 26262/IEC 61508のツール認証取得も視野に入れている。

 ドキュメントパッケージは自動車向けのISO 26262対応「Automotive Safety Package」、産業機器向けのIEC 61508対応「Industrial Safety Package」を用意しているが、2015年中にはeT-Kernel/Compactが、医療機器のソフトウェア開発と保守に関する安全規格であるIEC 62304の第三者認証を取得する予定であることから、医療機器向けのIEC 62304対応「Medical Safety Package」も提供する計画だ。

photo 「eT-Kernel Platform」

 ブースではeT-Kernelのリアルタイム処理性能を紹介するデモとして、イクシスリサーチ社の全周囲監視システムロボット「ぐるぐるView」が紹介されていた。このロボットには4つのカメラが取り付けられており、得られた4つの映像をリアルタイムに立体合成して鳥瞰視点の全周囲映像として出力する。この画像処理システムに採用されたソシオネクスト社の画像処理LSI「MB86R10/R20シリーズ」の上で、eT-Kernelが動作している。カメラの解像度は1280×720ピクセルと高精細だが、処理に遅延が起こることなく、スムーズな合成と出力が行われていた。

photo 画像処理OSとしてeT-Kernelを採用した全周囲監視システムロボット「ぐるぐるView」

 機能安全開発で求められるトレーサビリティ確保については、開発プロセス支援ツール「eWeaver」を投入する。これは「Redmine」や「Apache Subversion」「MySQL」などのオープンソースソフトウェアをベースに、独自機能をRedmineプラグインとして提供するもので、要求管理やテスト管理、障害管理、レビュー活動管理などとこれらのトレーサビリティ管理を半自動で実行可能だ。

 さらに、標準実装されているBacklogsプラグインにより、代表的なアジャイル開発手法であるスクラムの導入を容易にする。都度変化する要求にすばやく柔軟に対応しながら、高品質なソフトウェア開発が容易だ。eWeaverは2015年第3四半期の提供開始が予定されている。

 OSやツールだけではなく、ツールとサービスを組み合わせたトータルなソリューション提供やエンジニア育成もブースのテーマ。2015年4月に設立された同社子会社「イーソルトリニティ」は車載システムを中心とした開発支援全般を業務としており、コンサルティング、プロフェッショナルサービスを含む「ソリューション」「ツール」「エンジニア教育」の3つを柱として、“ソフトウェアの内部品質にこだわったサービスの提供”をしていくとしていた。

 イーソルは組み込みシステム向けメニーコアプロセッサ対応OSとして「eMCOS」を提供しているが、ブースでは256コアのKalray社製「MPPA-256」搭載ボードと36コアのEZchip社製「TILE-Gx8036」搭載ボードを用意し、SDKの紹介とSLIC(Simple Linear Iterative Clustering)アルゴリズムを用いた画像領域分割(サブピクセル取得)デモを行っていた。eMCOSは独自の分散マイクロアーキテクチャと、同社が特許を取得したスケジューリング技術によるリアルタイム性と高いスループットの両立が特徴で、1280×720ピクセル映像からのサブピクセル取得もほぼリアルタイムで行われていた。

 eMCOSはシングルコアプロセッサから、キャッシュコヒーレンシ機能を持たない、数百個のホモジニアスおよびヘテロジニアス両方のメニーコアプロセッサ、マルチチップ構成まで、コア数を問わずスケーラブルにサポートできるという。これまでメニーコアプロセッサは、クルマの自動運転技術や医療分野などでの先行開発や研究開発での利用が大半だった。今回は、CPUとDSPの組み合わせの代替としての利用や、GPGPUとのコストメリットの比較など、製品への本格的な採用を検討しているユーザの問い合わせが多いということだ。

photo 256コアのボードに実装したeMCOS上のSLIC画像領域分割デモ

 新たな取り組みとして紹介されていたのが、組み込み機器向けディープラーニング(深層学習)だ。インドのUncanny Visionの開発した技術(畳み込みニューラルネットワークの手法を採用)を利用したもので、高い負荷となるディープラーニングがリソース制限の厳しい組み込み機器でも利用できる。ディープラーニングの応用範囲は幅広いが、同社ではまず画像認識・物体検知についての実用化を目指しており、ブースでは「カメラに写したモノが何か、ARM Cortex-A9搭載ボードで推測する」というデモが行われていた。

photo カメラに写ったモノが何か、ARM Cortex-A9搭載の組み込みボードで推測する

 デモ環境はSECO製UDOOボード(ARM Cortex-A9 MPCore/800MHz)にLinuxの組み合わせ。ディープラーニングを組み込み機器で利用するため、ARM NEONへの最適化が行われており、ARM Cortex-Aシリーズプロセッサ向けとなる。開発キットは2015年第3四半期に提供される予定だ。その他、ADASや監視カメラでの利用が見込まれる、インドのIT企業UURMI Solutionsが開発したコンピュータビジョンIPの紹介も行われていた。

photo インドのIT企業UURMI Solutions(ウーミーソリューションズ)の開発したコンピュータビジョンIP。イーソルは販売代理店として販売するだけではなく、導入に際してのカスタマイズやポーティングも行う

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提供:イーソル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2015年7月14日

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