「Dependency Walker」は、アプリケーションの依存関係を調査するためのツールです(注)。
XP Embedded OSランタイムイメージを構築し、その上で実際にアプリケーションを実行させたら動作しない、ということがあります。こうした場合はDependency Walkerで必要なDLLがOSランタイムイメージに組み込まれているか否かを確認します。
画面4は、実際にOSランタイムイメージ上でDependency Walkerを実行した様子です。足りないファイルとして、MFC80U.DLLとMSVCR80.DLL(注)が表示されています。OSランタイムイメージに足りないDLLが分かったら、Component Database Manager、Target Designerからファイル名をキーとして該当コンポーネントを探し、OSイメージに組み込むことでアプリケーションが動作する環境を整えることができます。
「Registry Monitor」は、特定期間に発生したレジストリアクセスをモニタリングするツールです。
例えば、
OSランタイムイメージのデスクトップの背景を黒にする
ことを実現する場合を考えてみましょう。
まず、Windows XP Professional上でRegistry Monitorを起動し、画面のプロパティでデスクトップの背景を黒にする操作によるレジストリアクセスをモニタリングします。モニタリングした情報は、テキストファイルで保存します。このファイルを「setvalue」という文字列で検索することにより、背景を黒にする際にレジストリに書き込まれたデータを特定できます。
レジストリ情報を取得したら、Target DesignerやComponent DesignerでOSランタイムイメージのレジストリ情報を設定します。これで、デスクトップの背景が黒に設定されたOSランタイムイメージを構築できます。
「File Monitor」は、特定期間に発生したファイルアクセスをモニタリングするツールで、使用方法は基本的にRegistry Monitorと同じです。
例えば、EWF RAM Modeを利用したOSランタイムイメージにおいて、メモリを圧迫する要因がある(ディスクに対する書き込み動作が発生している)といった現象の調査などに用います。
「InCtrl5」は、EXE形式インストーラのインストールシーケンスを解析するツールです。インストーラの動作やファイルおよびレジストリの追加・削除・変更といった情報の取得が可能です。InCtrl5で取得した情報は、HTML形式で出力されます。
InCtrl5は、サードパーティアプリケーションのインストールシーケンス解析などに利用します。ドライバの中にはINFファイルではなくインストーラで提供されているものもあり、INFファイルからコンポーネントを作成できない場合があります。InCtrl5でインストールシーケンスを解析することにより、インストーラがコピーを行っているINFファイルの情報を取得してコンポーネントを作成することが可能です
XP EmbeddedのベースはWindows XP Professionalであり、アプリケーションの開発に際してVisual Studioを利用したり、既存の開発物を流用したりすることが可能です。これはOSイメージの作成にも当てはまります。レジストリの設定や異常発生時の解析手法など、Windows XP Professionalの知識が生かせます。
XP Embeddedの開発に関する文献は残念ながら少ないですが、Windows XP Professionalのトラブルシュート方法はさまざまな場所から取得できます。XP Embeddedの開発で行き詰まった際は、ヘルプやWindows XP Professionalの情報、そして今回紹介したツールなどを活用ください。
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