「既存の棚」を活用したピッキングAGV誕生 シャープが挑む物流自動化:国際物流総合展2025(2/2 ページ)
シャープは「国際物流総合展2025 第4回 INNOVATION EXPO」において、物流現場の省人化や自動化を支援するソリューションとして、倉庫でのピッキング作業を効率化する「スリムスタッカー・ロボットストレージシステム」などを披露した。
スマートグラスを活用したピッキング支援ソリューション
シャープは、子会社であるDynabookが2025年3月に発売した両目型の透過型XR(VR/AR/MR)グラス「dynaEdge XR1」を活用したピッキングソリューション「EQSURV Picking」も出展した。同製品は東芝システムテクノロジーが展開している。モバイルコンピューティングデバイス「dynaEdge DE200」にdynaEdge XR1を差し込むことで、ARを活用したピッキングが可能になる。従来の単眼型インテリジェントビューア「AR100」との組み合わせで運用していたARピッキングソリューションに、両眼型のdynaEdge XR1という新たな選択肢が加わった。
dynaEdge XR1を装着し、ピッキング対象に取り付けてある画像認識コードを見ると、グラス上に数量や詳細情報を表示し、モノを移動させる場所を矢印で教えてくれる。作業する前の荷物を赤色で、作業が完了した荷物については緑色で表示してくれるので、ピッキング時のミスを減らすことができる。次のピッキング対象もガイドしてくれるため作業効率も向上する。導入コストも比較的安く、現在使用している棚に識別用のカラーシールを貼るだけでいいので、導入までのリードタイムを短縮し、ランニングコストも抑えることができる。
dynaEdge XR1をARピッキングで活用するメリットについて「透明型にしたことで、現場でも安全に使うことができる。お互いの顔を確認しながら作業ができ、フレームを眼鏡型にすることで死角も減らしている。重量についてはバッテリーを積んでいないため、普通の眼鏡に比べて少し重い程度である。眼鏡が許される現場であれば幅広く導入することができる」(シャープの担当者)と語る。
また、dynaEdge XR1は単なるピッキングデバイスとしてではなく、業務用のPCに接続して自分だけ見ることができる仮想デスクトップ画面をレンズ上に表示するなど、多岐にわたる使い方が可能である。
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