有人と無人を切替可能な「二刀流フォークリフト」を三菱ロジが2025年度中に発売:国際物流総合展2025
三菱ロジスネクストは「国際物流総合展2025 第4回 INNOVATION EXPO」において、自動化技術「SynfoX(シンフォックス)」を搭載した自動フォークリフト「PLATTER Auto Sタイプ」を披露した。
三菱ロジスネクストは「国際物流総合展2025 第4回 INNOVATION EXPO」(2025年9月10〜12日、東京ビッグサイト)において、自動化技術「SynfoX(シンフォックス)」を搭載した自動フォークリフト「PLATTER Auto Sタイプ」を披露した。同製品は2025年度中に発売予定である。
三菱ロジスネクストのSynfoXは、三菱重工のデジタルイノベーションブランドである「ΣSynX(シグマシンクス)」の要素技術を活用し、製品化を前提として開発した自動化技術である。ΣSynXには人と機械が協調するために知恵と技術を結集して「かしこく/つなぐ」という意味が込められており、この概念を適用した多様な機械システムを同調/協調させる標準プラットフォームを物流製品に搭載している。
今回披露したPLATTER Auto Sタイプは、有人フォークリフトに自動化技術を落とし込むことで、有人の手動操作と無人の自動操作を切り替えられるようにしたフォークリフトである。平常時は搬送作業を自動で行い、繁忙期やイレギュラー時には手動で操作をするといった、現場の状況に合わせて用途を柔軟に変えることができる。有人/無人操作を切り替えることができるフォークリフトは、三菱ロジスネクストがこれまで展開してきた製品には存在していなかった。同製品のターゲット層については「ターゲットは特に絞っていない。世間的にオペレーター不足が問題になっているが、そうした悩みを抱える企業に対して、『少し投資をして有人から無人に切り替えないか』という呼びかけをしたいと考えている」(三菱ロジネクストの担当者)という。
PLATTER Auto Sタイプの無人モードでは、単純な荷物搬送作業をフォークリフトに任せることができ、荷物が置いてあるA地点からB地点への移動指示をするだけで、自動で荷物を取りに行くことが可能である。自動化の手順も比較的簡単で、購入した車両に工場のレイアウトを学習させるだけですぐに現場へ導入できる。磁気誘導方式の無人機だと、工場内に誘導のための磁石を地面に埋めたり、磁気テープを貼ったりするなど工事が必要になり、かなりの手間がかかるが、PLATTER Auto Sタイプはマルチテナント型の物流施設にも工事不要ですぐに導入ができるのが大きな利点である。「無人化のための設備投資にお金を割けない、マルチテナントのため工事ができないといった顧客に対して、簡単に導入できるシステムを提案している」(同担当者)。
三菱ロジスネクストは物流ソリューション事業の売上高を現状の450億円から2035年までに2000億円に伸ばすことを目標としている。そんな中オペレーター不足を解決し、現場の状況に合わせて操作の切り替えができるPLATTER Auto Sタイプを新たに投入することで、2035年の売上高目標達成の一助としたい考えだ。
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