無人物流を目指して開発中の自動フォークリフト、AIで車体に表情も?:国際物流総合展2023
三菱重工と三菱ロジスネクストは、「国際物流総合展2023 第3回 INNOVATION EXPO」において、三菱重工の自律化/知能化ソリューションを単体製品として搭載することを目指して開発中の新型AGF「AGF-X」と「DECCO」のデモンストレーションを行った。
三菱重工業(以下、三菱重工)と三菱ロジスネクストは、「国際物流総合展2023 第3回 INNOVATION EXPO」(2023年9月13〜15日、東京ビッグサイト)において、三菱重工の自律化/知能化ソリューション「ΣSynX(シグマシンクス)」を単体製品として搭載することを目指して開発中の新型AGF(無人フォークリフト)「AGF-X」と「DECCO」のデモンストレーションを行った。
目指すのは人と協調できる技術の開発、AIによる作業者との対話機能も計画
ΣSynXとは「Σ=総和」「Syn=同調/協調」「X=未来」をそれぞれ表している。三菱重工グループの製品全体を自律化/知能化するソリューションコンセプトであり、2014年に設立された三菱重工ICTソリューション本部を中心に研究開発を進めている。「最適計画」「検知認識」「人機協調」「統合制御」「自律制御」「遠隔保守」などのコア技術で構成され、AI(人工知能)などを活用した自律化/知能化でありながらも、「人を中心とし、人と協調できる技術を開発する」という狙いもある。
AGF-XではΣSynXの搭載だけではなく、レーザースキャナーで反射板をスキャンして現在地を認識する従来のレーザー誘導方式に代わって、LiDAR(Light Detection And Ranging)を活用してエリアマップの作成と自己位置推定を同時に行うLiDAR SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)誘導方式を採用した。高速な移動と旋回が可能な他、通路上に人や障害物があっても回避して搬送を続けることができ、レイアウト変更などに柔軟に対応する。
複数のセンサーを組み合わせた物体検知もでき、設置位置がずれた保管棚やパレットに対しても荷役を行う。さらに、万が一の場合も倉庫に設置された監視カメラや車載カメラとオンラインで接続し、遠隔操作に切り替えることもできる。
会場のデモンストレーションでは高速移動と高速旋回、障害物検知と回避、ラフに置かれたパレットへの作業などを披露した。
DECCO(Diverse Efficient Cooperative COnveyor)はAGF-Xと同様にΣSynXを搭載した、次世代AGFのコンセプトカーという位置付けだ。ユーザーの課題などに対して、それらを細分化して検証の結果に応じて適時方向修正しながら開発を進める「ピボット開発」で誕生した。
特長の1つは小型化した車体だ。荷役時の全長は1600mmと従来機比で35%小さくすることに成功。これにより必要通路幅は従来機比で50%減となる1800mmとなり、通路幅が狭くなることで保管効率の向上が可能になる。バッテリーの自動交換にも対応している。全長を短くした分、一部の部品を上部に搭載しており、車体の高さは上がっている。
会場のデモンストレーションでは1800mmの通路幅での荷役などを行った。AIを搭載することで表情や音声による作業者とのコミュニケーションを取り、安全な倉庫作業の実現を目指す。
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