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倉庫内のマテハン機器を賢くつなぐ、三菱重工が自動ピッキングシステム提供開始物流のスマート化(1/2 ページ)

三菱重工業と三菱ロジスネクストはAGF(無人フォークリフト)とAGV(無人搬送車)およびパレタイザーが連携する自動ピッキングソリューションを開発し、2022年9月1日から提供を開始すると発表した。

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 三菱重工業(以下、三菱重工)と三菱ロジスネクストは2022年8月31日、AGF(無人フォークリフト)とAGV(無人搬送車)およびパレタイザーが連携する自動ピッキングソリューションを開発し、同年9月1日から提供を開始すると発表した。

 三菱重工が神奈川県横浜市で運営するモノづくりの共創空間「Yokohama Hardtech Hub」(以下、YHH)内に、自動ピッキングソリューションの実証施設として「LogiQXLabo(ロジックスラボ)」が既に稼働を始めており、8月31日に報道陣に公開された。10月からは導入を検討する企業の見学も受け入れる。

AGF、AGV、パレタイザーを効率的に連携


LogiQXLabo内の実証施設[クリックして拡大]

 今回、開発した自動ピッキングソリューションは、これまで作業者が考えながら効率的に行ってきたピッキング作業を、三菱重工が研究開発を進める機械システムの知能化プラットフォーム「ΣSynX(シグマシンクス)」によって自動化したソリューションとなる。

 最も効率的な作業指示を作成する独自開発の最適化エンジンや統合制御システムを用い、複数のAGF、AGV、パレタイザーを賢く効率的に連携させて搬送、ピッキング回数を削減し、ピッキング工程の最適化とスループット(処理能力)の向上を実現する。

 最適化エンジンでは、例えば27箱から22箱をピッキングする場合、箱を22回ピッキングするのではなく、5回ピッキングして残った22箱を出荷したり、AGFはピッキングする商品が十分にパレタイザーに供給されている場合は処理済みパレットの後片付けを優先し、ピッキングする商品が不足しそうな場合はパレット供給を優先するなど、状況に応じて作業の優先度を自動で決定する。

 用途は飲料や冷凍食品、医薬品の工場や出荷した直後の大型保管倉庫など、梱包が統一されており、主にパレット搬送が行われている物流倉庫を想定している。三菱重工 物流・冷熱・ドライブシステムドメイン ソリューション事業統括室 主幹部員の松尾淳氏は「われわれのAGFは1tくらいあるよう大きくて重いものを正確に運ぶのを得意としている。そういった上流側の物流倉庫に向けて届けていきたい」と話す。

 能力にもよるが導入コストは数億円程度になる見通し。2023年中に第1号案件を納入する予定となっており、当初は年間数件の導入を見込んでいる。

 AGFの新たなコンセプト機「SynX-Vehicle(シンクスビークル)」の開発も進んでおり、今後は倉庫への入出庫やトラックへの入出荷の自動化にも取り組む。新たに開発するソリューションと合わせて、三菱重工グループとして2030年頃までに年間数百億円規模の売上高を目指す。

 松尾淳氏は「人と同等以上の搬送速度での荷役や有人フォークリフト以上の保管効率、まだ限られているAGFの適用可能シーンの拡大を目指したい。また、技術的なハードルが高いトラックの入出荷の自動化もソフトウェアとハードウェアの力で実現したい」と話す。


三菱重工 物流・冷熱・ドライブシステムドメイン ソリューション事業統括室 主幹部員の松尾淳氏

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