経産省がスタートアップの製品やサービスの調達に向けた共創ガイドラインを策定:製造マネジメントニュース
経済産業省は、スタートアップの製品やサービスを事業会社が調達、購買することで共創を促進する「共創パートナーシップ 調達・購買ガイドライン」を策定した。初期購買趣意書、モデル契約書も併せて公表している。
経済産業省は2025年4月30日、スタートアップの製品やサービスを事業会社が調達、購買することで共創を促進する「共創パートナーシップ 調達・購買ガイドライン」(通称:ベンチャークライアントモデルのガイドライン)を策定したと発表した。
同ガイドラインは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2024年度に実施した調査事業の成果として、事業会社とスタートアップが共創を進める際の実務面に着目して策定された。特に初期段階の製品やサービスの検証(PoC)において、煩雑な手続きや交渉の負担を軽減するための実用的な枠組みを提供するものとなっている。
また、同ガイドラインの活用を促進すべく、実務での活用を支援する「初期購買趣意書」および「初期購買モデル契約書」も併せて公表した。
初期購買趣意書は、事業会社が検証活動の目的や達成目標、予算、マイルストーンなどをスタートアップと合意するための文書だ。法的拘束力は有さないものとなっている。また、これに基づいて締結される初期購買モデル契約書では、スタートアップが製品やサービスを提供し、事業会社が対価を支払う条件を明示している。
ガイドラインの取りまとめは、事業会社やスタートアップ、学識経験者らによる研究会が担っている。同研究会は、NEDOの調査事業において立ち上がったものだ。国内外の共創事例や課題分析を通じて、スタートアップ製品の調達を円滑に進めるための方策を検討した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
スタートアップとのオープンイノベーションで生じる“搾取的関係”の問題点
本連載では大手企業とスタートアップのオープンイノベーションを数多く支援してきた弁護士が、スタートアップとのオープンイノベーションにおける取り組み方のポイントを紹介する。第1回は現在スタートアップと大企業間のオープンイノベーションで生じ得る「搾取的関係」の問題点を解説する。パナソニックがスタートアップとの新規事業創出を推進、事業目標に合わせて共創
パナソニックは、イノベーションの加速が期待できるスタートアップとの共創で新規事業創出に取り組む活動「Panasonic Kurashi Visionary Colab」を2025年3月期から開始する。ソニーの着るクーラー「REON POCKET」はなぜ生まれたのか、2号機はもっと冷える
ソニーのスタートアップの創出と事業運営を支援するSSAPから生まれたヒット商品である“着るクーラー”こと「REON POCKET」。その初号機の開発経緯から、直近で発売した2号機での改善点、そしてこれからの課題などについて開発担当者に聞いた。ダイキンのCVCは単なる投資にあらず、「ここまでやるか」というほど徹底的に
ダイキン工業はコーポレートベンチャーキャピタル活動に関する説明会を開催した。自社の重点投資領域のテーマに沿う形でスタートアップなどに投資、支援を提供するとともに、その後の実績創出まで含めて伴走支援を行う仕組みを作るなど独自の特徴がある。筑波大発スタートアップQoloの挑戦にみる、今つくばに足りないもの
筑波研究学園都市としての歴史を背景に持つ茨城県つくば市のスタートアップシティーとしての可能性を探る本連載。第2回は、筑波大発スタートアップであるQoloへのインタビューを通して、行政によるスタートアップ支援の取り組みの成果と課題を検討する。オープンイノベーションとはいうけれど、大手と組んで秘密は守れる?
オープンイノベーションやコラボレーションなど、社外の力を活用したモノづくりが、かつてないほど広がりを見せています。中小製造業やモノづくりベンチャーでも「大手製造業と手を組む」ことは身近になってきました。でも、ちょっと待ってください。その取引は本当に安全ですか。本連載では「正しい秘密保持契約(NDA)の結び方」を解説していきます。