検索
連載

「JIMTOF2024」で金属3Dプリンタの最新動向を調査テルえもんが見たデジタルモノづくり最前線(7)(4/4 ページ)

連載「テルえもんが見たデジタルモノづくり最前線」では、筆者が日々ウォッチしているニュースや見聞きした話題、企業リリース、実体験などを基に、コラム形式でデジタルモノづくりの魅力や可能性を発信していきます。連載第7回は「『JIMTOF2024』で見た金属3Dプリンタ最新動向」をお届けします。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

今回のまとめ:金属3Dプリンタの進歩、活用用途と現状

 JIMTOF2024では、数多くの3Dプリンタに関する展示がありました。その中で、今回は金属3Dプリンタに焦点を当て、PBF方式とDED方式それぞれの注目機種について紹介しました。

 金属3Dプリンタは、従来工法では不可能な複雑形状を造形できる他、中空構造やラティス構造など、軽量化に最適な構造も製作できます。複数の部品を一体化することで、組み立て工程を簡略化したり、製造コストを削減したりすることが可能です。また、金型製作が不要なため、試作品や少量生産品の製造において、従来工法よりも短納期で製作できます。そして、積層造形ということもあり、材料の無駄も少なく、環境負荷の低減にも寄与します。金属3Dプリンタは、航空宇宙、医療、自動車など、さまざまな分野で活用が進んでおり、今後もさらなる発展が期待されます。

 MONOistと「TechFactory」が2024年3月に実施した「第2回 金属3Dプリンタ動向調査」によると、「金属3Dプリンタを保有している」と回答した割合は全体の14.9%でした。金属3Dプリンタの用途については「試作研究」が最も多く、「金型製作」「金型補修」などが続きます(詳しくはぜひ調査結果レポートをご覧ください)。世界と比べると、日本における金属3Dプリンタの導入/実製品活用はやや出遅れている感はありますが、技術そのものは着実に進歩しています。

 事実、近年は3Dプリンタ/アディティブマニュファクチャリングによる量産適用が進んでおり、国際規格として「ISO/ASTM 52920」が定められ、品質保証の重要性も高まってきています(詳しくは連載「AMの品質保証とISO/ASTM 52920」をご覧ください)。

 金属3Dプリンタの方式はさまざまありますが、積層造形と切削加工を組み合わせて精度の高い部品を製作する活用方法が主流になっているようです。JIMTOF2024の会場でもそれを肌で感じることができました。また、造形速度を上げるために、レーザーの本数を増やしたり、切削するエンドミルの本数を増やしたりなどの機能を搭載した機種も登場していました。他にも、複雑な形状を製作するために多軸の動きができるヘッドや、積層しながら切削を行うハイブリッドな機器の進化にも驚かされました。

 今回は、金属3Dプリンタの装置本体についての紹介となりましたが、JIMTOF2024では、スライサーソフト、解析/最適化ソフト、CAMソフトなど、関連ソフトウェアについても多くの展示ブースで新しい話を聞くことができました。このあたりの話題については、今後の連載の中であらためて紹介できればと思います。お楽しみに! (次回へ続く

⇒ 連載バックナンバーはこちら

MONOistリサーチ
↑↑↑読者調査レポートまとめ「MONOistリサーチ」はこちら↑↑↑

筆者プロフィール

小原照記(おばら てるき)

いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動をしている。また企業の困り事に対し、デジタルツールを使って支援している。人は宝、財産であると考え、時代に対応する、即戦力になれる人財、また、時代を創るプロフェッショナルな人財の育成を目指している。優秀な人財がいるところには、仕事が集まり、人が集まって、より魅力ある街になっていくと考えて地方でもできること、地方だからできることを考えて日々活動している。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る