NECの生体認証技術で1分間に100人の歩行者を認証、新システムの販売開始:製造ITニュース
NECは、施設入場時の混雑緩和に向けて、生体認証技術により一度に多人数の歩行者を認証するシステムを、日本とアメリカ、シンガポールを中心にグローバルで販売する。
NECは2024年9月30日から、施設入場時の混雑緩和に向けて、生体認証技術により一度に多人数の歩行者を認証するシステムを、日本とアメリカ、シンガポールを中心にグローバルで販売開始する。3年間で100件以上の販売を目指す。
工場やオフィスなどの入退場口に多人数が集中した際、フラッパーゲートや警備員のいる通用門を通過するために、長い行列ができるなど混雑が発生する。また、インバウンド需要の増加で空港などの利用者が急増し、混雑緩和のための施設拡張や増設が追い付いていない状況にある。
新システムでは、顔認証技術と身体の特徴から人物を照合する技術を活用する。事前に設定した入場エリア内の人物を迅速に検出し、混雑下でも人物を継続して認識し続けることが可能だ。人が歩いている状態でも1分間に100人のリアルタイムな認証を実現し、1人ずつ順番に通過させるためのゲートが必要なく、行列を解消して利用者の負担を軽減する。
最小構成はハードウェアアクセラレーション技術を組み込んだ手のひらサイズの小型エッジ端末とカメラ1台から。既存施設の拡張や増設をせずに、コストを抑えながら多様な場所に導入できる。
企業のニーズに応じた機能を柔軟に実装できるのも特徴で、NECの生体認証をキーとするサービス「Bio-IDiom Services ID連携」により、幅広いアプリケーションと接続して多様なユースケースでの活用が可能だ。事前に顔画像を登録していない利用者が通過しようとした場合に、視覚的なアラート発出できるカスタマイズ機能も用意した。
認証時には事前にダウンロードしたアプリやメールで本人に認証完了を通知し、利用者とスタッフそれぞれが入場可否をその場で把握できる。将来的にはARグラスなどと組み合わせ、セキュリティとホスピタリティの両立を目指す。
国内のNEC社員2万人を対象に運用を開始
NECは2024年7月、新システムをNEC本社ビルに導入し、国内のNEC社員2万人を対象に運用を開始した。従来は社員証をかざして解錠していた自動ドアを、顔認証により歩きながら手ぶらで通過できるようになった。利用者が左右どちらの扉に向かったのかを新システムが判断し、通過する扉を解錠できる。
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