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多数の歩行者を瞬間認証、人流を妨げないゲートレス生体認証システム開発イノベーションのレシピ(1/2 ページ)

NECは2022年11月30日、R&Dや新規事業創出の戦略や成果を発表するイベント「NEC Innovation Day」を開催した。イベントでは初公開の技術として、従来と比べて多人数のリアルタイム顔認証と人物追跡を可能にする「ゲートレス生体認証システム」などが展示された。

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 NECは2022年11月30日、R&D(研究開発)や新規事業創出の戦略や成果を発表するイベント「NEC Innovation Day」を開催した。イベントでは初公開の技術として、従来と比べて多人数のリアルタイム顔認証と人物追跡を可能にする「ゲートレス生体認証システム」などが展示された。

1分間で100人をリアルタイム認証

 ゲートレス生体認証システムは、特定エリアの上方に4Kのカメラを1台設置することで、エリア内の歩行者の追跡と顔認証を自動で行うシステムである。歩行者が子どもなどの場合、他の歩行者に遮られてカメラで顔が検出できない可能性もあるが、その場合は動きや服装などの特徴から同一人物を特定し、顔が見えたタイミングでサーバ側と照合を行い、認証する。

ゲートレス生体認証システムのデモ動画。展示ではIDが登録済みで認証に成功した人は緑色で、認証されなかった場合は赤色で表示されるようになっていた。

 顔認証と人物追跡が可能なエリアの範囲は5×5m程度。歩行速度で1秒間に1m程度の速さであれば、1分間当たり100人をリアルタイムで認証することが可能で、走っている人も問題なく追跡できる。

 NECは顔認証などの生体認証技術で「世界トップクラス」(同社)の技術力を有しているとしており、ゲートレス生体認証システムにもこうした技術力が活用されている。同社はこれまでにも虹彩認証や顔認証技術を組み合わせたマルチモーダル生体認証や、ゲート式のウォークスルー型の認証システムを発表してきた。ただし、これらは認証の際に端末前で立ちどまらなければならない、あるいは特定の動線で一度に限られた人数しか認証できないといった課題を抱えていた。


マルチモーダル生体認証用の端末[クリックして拡大] 出所:NEC

 これに対して短時間で多人数の認証が行えるゲートレス生体認証システムを導入することで、入場用ICカードの処理待ちなどを無くし、入り口付近の混雑を緩和する効果が期待できるという。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による行動制限が緩和される中、工場やオフィスなどの現場に人が再び多く集まり、混雑する状況が出ているが、こうした課題解決につながる可能性もある。

 NECの担当者は「テーマパークやイベント会場、工場、オフィスの他にも、例えば定期券利用者のデータベースと連携することで鉄道の自動改札化も目指せるかもしれない」と説明した。同社は2024年度までに実用化を目指すとしている。

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