「生成AI」はいよいよこれから“幻滅期”へ、ガートナーのハイプサイクル2024年版:製造マネジメントニュース
米国の調査会社Gartnerは「先進技術におけるハイプ・サイクル2024年版」を発表。「生成AI」は“過度の期待のピーク期”の末期となり“幻滅期”に入ろうとしていることなどを示した。
米国の調査会社Gartner(以下、ガートナー)は2024年8月21日(現地時間)、「先進技術におけるハイプ・サイクル2024年版」を発表した。
ガートナーのハイプ・サイクルは2000を超える技と応用フレームワークから先進テクノロジーとその成熟度を図で簡潔にまとめたものだ。先進的な技術が「大きな期待」から「幻滅」「最終的な安定普及」といった共通のパターンを経て定着することから、それぞれの技術がこのハイプ・サイクルのどこに位置するのかを示している。今回の「先進技術のハイプ・サイクル」は2000を超える技術を分析した上で、今後2〜10年にわたって高度な競争優位性をもたらす可能性が高い先進的な技術やトレンドをまとめている。
「生成AI」はいよいよ“幻滅期”に突入
「先進技術におけるハイプ・サイクル2024年版」で「過度な期待のピーク期(Peak of Inflated Expectations)」に位置付けられた技術としては「AI TRiSM(AIの信頼性、リスク、セキュリティマネジメント)」「Homomorphic Encrption(準同型暗号)」「Prompt Engineering(プロンプトエンジニアリング)」「GitOps(コードベースのインフラと運用手順)」「Machine Customers(マシンカスタマーズ、人間の代わりに購入手続きなどを行う機械やソフトウェア)」「Internal Developer Portals(内部開発者ポータル)」「AI Augmented Software Engineering(AIで拡張されたソフトウェアエンジニアリング)」「Superapps(スーパーアプリ、ミニアプリを組み合わせてパーソナライズ化されたアプリエクスペリエンスをもたらすプラットフォーム)」「Cloud Native(クラウドネイティブ)」「Generative AI(生成AI)」などがあった。
この内「生成AI」は“過度の期待のピーク期”と“幻滅期”の境界線だと位置付けられており、現在の大きな期待値に対し、今後はネガティブな要素などに目が向くようになることが予測されている。
ガートナーでは、これらの技術などを組み合わせ、以下の4つのテーマにおける技術トレンドが見られるとしている。
- 自律型AI:人間の監視を最小限に抑えて動作し、自己を改善し、複雑な環境でも効果的に意思決定できる自律型AIシステム。マルチエージェントシステム、大規模行動モデル、機械顧客、人型作業ロボット、自律エージェント、強化学習などの技術が関連する
- 開発者の生産性を高める:AIを活用したソフトウェアエンジニアリング、クラウドネイティブ、GitOps、社内開発者ポータル、プロンプトエンジニアリング、WebAssemblyなどの技術が関連する
- トータルエクスペリエンスで力を与える:カスタマーエクスペリエンス、従業員エクスペリエンス、マルチエクスペリエンス、ユーザーエクスペリエンスのバランスを取りながら最適な体験を実現する仕組み。顧客のデジタルツイン、空間コンピューティング、スーパーアプリ、6Gなどの技術が関連する
- 人間中心のセキュリティとプライバシーの実現:AI TRiSM、サイバーセキュリティメッシュアーキテクチャ、デジタル免疫システム、偽情報セキュリティ、フェデレーション型機械学習、ホモモーフィック暗号化などが関連する
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