「生成AI」は“過度な期待のピーク”、ガートナーのハイプサイクル2023年版:製造マネジメントニュース
米国の調査会社Gartnerは「先進技術におけるハイプ・サイクル2023年版」を発表した。“過度な期待のピーク期”では「生成AI」や「クラウドネイティブ」「拡張AI」などが挙がった。
米国の調査会社Gartner(以下、ガートナー)は2023年8月16日(現地時間)、「先進技術におけるハイプ・サイクル2023年版」を発表した。
ガートナーのハイプ・サイクルは2000を超える技術をグループ化し、その成熟度、企業にもたらすメリット、今後の方向性に関する分析情報を図で表したものだ。先進的な技術が「大きな期待」から「幻滅」「最終的な安定普及」といった共通のパターンを経て定着することから、それぞれの技術がこのハイプ・サイクルのどこに位置するのかを示している。今回の「先進技術のハイプ・サイクル」は2000を超える技術を分析した上で、今後2〜10年にわたって高度な競争優位性をもたらす可能性が高い、押さえておくべき先進的な技術やトレンドをまとめている。
「過度な期待のピーク」に
「先進技術におけるハイプ・サイクル2023年版」で「過度な期待のピーク期(the Peak of Inflated Expectations)」に位置付けられた技術としては「生成AI(Generative AI)」「クラウドネイティブ(Cloud-Native)」「拡張AI(AI-Augmented)」などがあった。日本でも大きな期待を集めている生成AIだが、現在の盛り上がりは行き過ぎたものであり、今後はネガティブな要素などに目が向くようになり、それでも使えるような部分が残り、定着へと進んでいく見込みだ。
今後期待が高まる技術である「黎明期」では、「産業用クラウドプラットフォーム(Industry Cloud Platforms)」などが挙がっている。欧州を中心に進んでいる自動車業界向けのデータ共有スペースである「Catena-X」など、産業ごとにデータを共有する枠組み作りが進む中で、新たなムーブメントとして注目が集まっている。
その他の技術では「AI TRiSM(AI Trust, Risk and Security Management)」や「強化学習(Reinforcement Learning)」「AIシミュレーション」「因果関係AI(Causal AI)」「Neuro-Symbolic AI」などAI関連技術が数多く挙げられた。
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