エッジAIや説明可能なAIは“過度の期待のピーク”へ:製造マネジメントニュース
米国の調査会社Gartnerは「先進技術におけるハイプサイクル2020年版」を発表した。調査結果によると、「コンポーザブルエンタープライズ」「データファブリック」「組み込み型AI」「セキュアアクセスサービスエッジ(SASE)」「説明可能なAI」などが「過度の期待のピーク」に入った。
米国の調査会社Gartner(以下、ガートナー)は2020年8月18日(現地時間)、「先進技術におけるハイプサイクル2020年版」を公開した。
ガートナーのハイプサイクルは2000を超えるテクノロジーをグループ化し、その成熟度、企業にもたらすメリット、今後の方向性に関する分析情報を図で表したもの。先進的な技術が「大きな期待」「幻滅」「最終的な安定普及」といった共通のパターンを経て定着することから、それぞれの技術がこのハイプサイクルのどこに位置するのかを示した調査資料だ。1995年からグローバル版を展開している。
「過度の期待のピーク」は「組み込み型AI」や「説明可能なAI」など
今回の「先進技術におけるハイプサイクル2020年版」では、2019年版(※)と引き続き、「幻滅期」や「啓蒙(けいもう)活動期」「生産性の安定期」にプロットされた技術が少なかったという点が特徴だといえる。一方で、黎明期のさまざまな技術が多く紹介されている。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染抑制に関して「ソーシャルディスタンシングテクノロジー」が「過度の期待のピーク期」にある技術として入ったことも特徴的だった。
※)関連記事:「レベル4自律走行」は引き続き“幻滅期”、「5G」や「エッジAI」は“過度の期待期”
その他で「過度の期待のピーク期」に入った技術は「コンポーザブルエンタープライズ」「データファブリック」「組み込み型AI」「セキュアアクセスサービスエッジ(SASE)」「説明可能なAI」となる。「組み込み型AI」は2018年から、「説明可能なAI」は2019年からの登場となるが、「説明可能なAI」は2020年版で一気に過度の期待のピークを越え、2021年には「幻滅期」に入りそうな状況である。「幻滅期」となったのは「カーボンベースのトランジスタ」と「個人所有アイデンティティーの業務利用」「オントロジ/グラフ」となっている。
「黎明期」の技術としては、従来は大きな枠組みとして紹介されてきた技術が細分化されて入ったことが特徴だといえる。中でも「AI拡張型開発」「責任なるAI」「生成的AI」「コンポジットAI」「アダプティブな機械学習」「自己教師あり学習」「AI拡張型設計」など、AI関連の技術が引き続き数多く紹介されている。
5つの先進テクノロジートレンド
ガートナーが合わせて発表した今後10年にわたってテクノロジーイノベーションを促進する5つのトレンドとして「デジタルミー」「コンポジットアーキテクチャ」「フォーマティブAI」「アルゴリズムによる信頼」「シリコンの先へ」を挙げている。
「デジタルミー」はデジタルツイン化が進んだ世界で、デジタルパスポートやソーシャルディスタンシングテクノロジーなど、人をデジタルで表現し物理空間とデジタル空間の両面において人を表現できる、個人のモデルを提供するものだ。インタフェースも、画面やキーボードにとどまらず、インタラクションモード(音声、視線、ジェスチャなど)の組み合わせを使用したり、場合によっては人間の脳を直接変えたりするような世界が描かれている。
「コンポジットアーキテクチャ」は、急速に変化するビジネスニーズに対応できるよう設計された新たな柔軟性のあるITシステムの枠組みを示している。ビジネスパッケージで構成されるが、エッジデバイスやエンドユーザーなどの外部にまで拡張されていることが特徴である。
「フォーマティブAI」は、状況の変動に応じて動的に変化できる、一連の先進的なAIと関連テクノロジーを示している。AI拡張型設計、AI拡張型開発、オントロジ/グラフ、スモール・データ、コンポジットAI、アダプティブな機械学習、自己教師あり学習、生成的AI、敵対的生成ネットワークなどで構成される。
「アルゴリズムによる信頼」は、データ、資産ソース、個人とモノのアイデンティティーについてのプライバシーとセキュリティを確保するための新たな信頼モデルを構築するものだ。SASE、差分プライバシー、来歴の認証、個人所有アイデンティティーの業務利用(BYOI)、責任あるAI、説明可能なAIなどの技術が対象になるという。
「シリコンの先へ」は、ムーアの法則に縛られない新たな先端素材によるデバイスの実現を目指したものだ。DNAコンピューティング/ストレージ、生物分解性センサー、カーボンベースのトランジスタなどが対象だとされている。
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