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日産とホンダの協業検討が進展、SDVの共同研究やEV部品の共有へ電動化(2/2 ページ)

日産自動車とホンダはソフトウェアデファインドビークルのプラットフォーム向けの基礎的要素技術の共同研究契約を結んだ。また、両社が2024年3月から議論してきた戦略的パートナーシップの検討に三菱自動車も加わり、新たに3社で覚え書きを締結した。

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車両の相互補完

 具体的なモデル名などは公表しなかったが、両社がグローバルでそれぞれ販売するモデルの相互補完に向けて対象となるモデルや地域に基本合意した。相互補完のモデルはガソリン車やEVなどを検討している。また、合同での商品検討体制などのアウトラインにも合意した。

エネルギーサービスや資源循環

 EVの普及に向けて、エネルギー機器やバッテリーを活用した日本国内向けのエネルギーサービスや充電サービスについても協業の可能性を検討する。資源循環についても同様に協業の可能性を探る。


 これらの協業の検討状況をベースに、三菱自動車も含めたシナジーを獲得できるよう検討を深めるとしている。資本提携については現在ではまだ検討していない。

 ホンダ 社長の三部敏宏氏は「資本提携の可能性は否定するものではない。いろいろなやり方があり、共同出資で新会社を設立するのも可能性の1つではある」とコメント。内田氏も「これまで、何をすべきかという点で議論をしてきた。これからはどうやってやるかに議論が移っていく。3社にとってそれぞれにメリットがあるやり方をこれから作っていく」と述べた。

2030年までに成果を

 すでに2026〜2027年モデルの量産開発は始まっているため、SDVプラットフォームの基礎的な要素技術の共同研究はそれ以降のモデルをターゲットとする。

 SDVには、SoCやEEアーキテクチャ、ビークルOSなどのソフトウェアプラットフォーム、データプラットフォーム、AI(人工知能)などが要素として含まれる。まずは、SDV向けの開発環境を両社でそろえることから始め、商品に搭載する機能に向けて動いていく。共同研究が終わる1年後には、より商品に近い議論に移行したい考えだ。SDVのコアとなる部分の企画や設計は日産自動車とホンダで進めていくが、外部のさまざまなソフトウェア関連の企業との関係も取り入れながらSDVのプラットフォームを作っていく。

 SDVでの協業の成果は、2030年より前に市場投入したい考えだ。SDV以外の領域についても、2030年時点で何らかの成果を出すことが焦点となる。2024年3月の会見でも、三部氏は「2030年に自動車メーカーのトップランナーでいられるか、生き残れるかを考えると、動くべきタイミングは今だ」と発言していた。

 協業の背景には、中国自動車メーカーなど競合他社に対する危機感もある。その危機感について、内田氏は「中国勢はスケーラビリティやスピードに強みを持っている。そこについて行き、対抗するには相当なスピード感が必要だ。優れた技術があっても、事業化できなければいけない。事業化のタイミングが市場のニースに合わなければビジネスにつながらない」と述べた。

 三部氏も「スピードに加えて、自動車業界の枠を超えてIT企業ともうまく関係を築いている。もともとのわれわれの時間軸ではなく、スピード感を持って彼らを捉え、超えていきたい。試合は始まったばかりで、まだまだ十分戦える。3社が集まるとスピード感が失われると思われるかもしれないが、今は平時ではなく非常時だ。3社の協業を武器に戦っていく」と抱負を語った。

 協業に向けた議論に参加しているエンジニアの代表からも、期待が寄せられた。

 「日産をライバルだと思うということは、それだけ相手を認めているということ。初めはどこまで話していいのか手探りだったが、週に何度も顔を合わせて話すのを繰り返すうちに、現場からやりたいことや、やり方についてどんどん提案が出てきた。文化が違うのは事実だが、危機感の前ではエンジニアにとって文化の違いはあまり関係ない。リスペクトしながら密なコミュニケーションをとり、今日に至っている」(ホンダ)

 「両社の文化は違うが、技術に対する思いや、自社の技術に対するこだわりを持っている点は共通だ。これからテスラや中国勢などSDVで先を行く自動車メーカーに勝たなければいけない、リードしていかなければならないという思いや、これに向けた課題に対する理解も全く同じだった。第一線のエンジニアを投入して毎週議論してもらうことで、よい化学反応につながっている。新しいものを生み出す力はそれぞれ持っていると信じているので、新しい世界を作っていきたい」(日産自動車)


両社の開発部門からも期待の声[クリックで拡大] 出所:日産自動車

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