ホンダがカナダにEV製造拠点を新設、バッテリーは自社生産:電動化(1/2 ページ)
ホンダはEV専用の完成車工場やバッテリー工場の建設、材料メーカーとの共同出資会社設立など、北米でのEVの包括的バリューチェーン構築に向けた検討を開始した。
ホンダは2024年4月25日、EV(電気自動車)専用の完成車工場やバッテリー工場の建設、材料メーカーとの共同出資会社設立など、北米でのEVの包括的バリューチェーン構築に向けた検討を開始したと発表した。
これまで北米市場向けでは米国にEVやバッテリーの生産体制を整備してきたが、今回は第2弾としてカナダに投資する。これにより、2030年までにグローバルでEV200万台を生産し、2040年にゼロエミッション車の販売比率を100%とする目標の達成に弾みをつける。また、大きな市場である北米での商品力向上につなげる。足元ではEVの普及に減速感があるが、中長期的にパーソナルカーの脱炭素化はEVが最適解だと判断し、投資を決めた。
今回発表した包括的バリューチェーン構築での総投資額は150億カナダドル(約1.7兆円)を見込んでいる。材料メーカーの出資やカナダ連邦政府などからの補助金を除くと、ホンダの負担分はこのうちの6〜7割となる見通しだ。投資の内容は今後半年で精査し、2024年秋に最終決定する。
EV専用の完成車工場は、2028年の操業開始を目指す。最大生産能力は年間24万台規模で、環境負荷の最小化や革新的な生産技術の導入に取り組む。デジタル技術、モジュール化の発展形、6000トン級の大型鋳造などにより生産コストを低減する。2020年代後半に投入するEVの競争力向上に効果を発揮すると見込む。
ホンダはカナダに2つのアセンブリーラインを持っており、このうち1つをEV専用工場とする。これらに隣接して三元系リチウムイオン電池の工場も設ける。バッテリーメーカーからの調達ではない自社生産となる。年間の最大生産能力は36GWhを見込み、基本的にはホンダ車のみに搭載するが、状況に応じて柔軟に対応するとしている。バッテリー以外のEV部品についても60%程度をホンダグループ内で調達できるようにしていく計画だ。
EV専用の完成車工場やバッテリー工場の稼働により、新たに1000人の雇用を創出するとしている(Honda of Canada Manufacturingの現状の従業員数は4200人)。なお、現時点では、カナダで整備するEV生産体制にGM(General Motors)や日産自動車が関わる予定はないとしている。
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