日産が新たな中計を発表、2026年度までに新型車30車種:電動化(1/2 ページ)
日産自動車は販売台数の増加と収益性の向上に向けた2030年までの中長期的な取り組みをまとめた経営計画「The Arc」を発表した。2026年度までに足元から100万台の販売増と、営業利益率6%以上の達成を目指す。
日産自動車は2024年3月25日、販売台数の増加と収益性の向上に向けた2030年までの中長期的な取り組みをまとめた経営計画「The Arc」を発表した。2026年度までに足元から100万台の販売増と、営業利益率6%以上の達成を目指す。
今回発表した経営計画は、2024〜2026年度の中期と、2030年度までの長期の取り組みで構成されている。まず、地域ごとに最適化した戦略によって販売台数を拡大し、電動車とエンジン車の製品ラインアップのバランスを取りながらEV(電気自動車)への移行を加速する準備を進める。次に、パートナーシップやEVの競争力向上、技術面での差別化などによってEVシフトと収益性の確保を両立しながら成長を目指す。
新たな経営計画の中では、研究開発費と設備投資額は総売上高の7〜8%の範囲に維持し、バッテリー設備には4000億円以上を投資する。電動化への投資は段階的に増加し、2026年度までに全体の70%以上を占めるとしている。工場の稼働率は、足元の78%(中国除く)から2026年度までに90%以上に引き上げて維持する目標だ。
データを使ったカスタマイズサービスやオンデマンドの機能更新、EVのエネルギーエコシステム、モビリティサービスなど新たな事業機会の創出にも力を入れる。
新型車の投入計画
2026年度までに新型車30車種を発売する(このうち10車種がルノーや三菱自動車とのアライアンスで、5車種が東風日産で開発される)。パワートレイン別の内訳は16車種が電動車、14車種がエンジン車だ。2024年度はEV2車種、2025年度はEV2車種とe-POWER搭載車1車種、PHEV(プラグインハイブリッド車)1車種を投入する。2026年度にはEV4車種とe-POWER搭載車3車種、PHEV3車種の投入を予定している。2026年度までに投入する次世代のe-POWER搭載車は、出力を20%向上、燃費を10%改善、コストを20%削減してエンジン車と同等のコストを目指す。
2024〜2030年度では合計で34車種の電動車を発売し、軽自動車からピックアップトラックまで全てのセグメントをカバーする計画だ。グローバルでの電動車の販売比率は2026年度に40%、2030年度に60%を見込む。乗用車タイプのエンジン車はフルモデルチェンジや新規投入によってラインアップの60%を刷新する。さまざまなユーザーのニーズに応えながら、市場ごとに異なる電動化のペースに対応する。
北米では、米国とカナダで新型車7車種を投入して販売台数を33万台増やす。米国では日産ブランドの乗用車ラインアップの78%を刷新し、HEV(ハイブリッド車)の需要拡大に対応してe-POWER搭載車やPHEVを投入する。米国でのe-POWER搭載車投入は2026年度を予定している。また、米国では統合型カスタマーエクスペリエンスに2億米ドルを投資してカスタマーエンゲージメントを強化する。
中国では販売を20万台増やし、2026年に年間販売台数100万台を目指す。日産ブランドのラインアップは73%を刷新し、新エネルギー車8車種を投入する。このうち4車種が日産ブランドとなる予定だ。2025年からは中国生産車の輸出を開始し、第1段階として10万台の輸出を計画している。現地の合弁パートナーとは継続して生産能力の最適化を進める。
日本では9万台増の60万台の販売を目指す。乗用車ラインアップの80%を刷新し、5車種の新型車を展開する。電動車比率は70%に向上させる。エネルギーマネジメントやユーティリティーサービス、バッテリーの二次利用などのサービスも拡大する。自動運転技術を活用したモビリティサービスの拡大にも取り組む。ASEANでも、EVとe-POWER搭載車によってラインアップを強化する。
アフリカ、中東、インド、欧州、オセアニアでは、販売を合計30万台増やす。欧州では新型車6車種を投入し、EV比率は40%に引き上げる。第3世代のe-POWER搭載車も投入する。中東は新型SUV5車種を展開。インドは新型車3車種を投入するとともに、10万台レベルの輸出を目指す。オセアニアでは1トンピックアップとCセグメントのクロスオーバーEVを発売する。アフリカでは新型SUV2車種を投入するとともに、Aセグメントのエンジン車も投入する。
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