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インバウンド急回復による航空燃料不足の解消へ、官民で供給力確保:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
経済産業省と国土交通省は「航空燃料供給不足に対する行動計画」を発表した。
製油所から空港へのローリー直送の拡大では、予備車や乗務員など運送会社との調整により、地方空港向けにアジア便週150便相当の配送力を確保した。既存の船舶を活用した運送計画の変更、外航船を日本籍内航船に転用するなどによって輸送力を強化する。2024年内に、外航船の転用で2隻、新造就航1隻で輸送が増強される。
製油所では、エネルギー供給構造高度化法の特例的な運用に基づく生産能力の変更も実施する。製油所の定期修繕が人手不足などで長期化しているため、他の製油所で必要分を増産し、アジア便の週140便相当のジェット燃料を2024年9月まで生産する。給油作業員の確保にも取り組む。
今後の増便やジェット燃料の需要増に向けて
さらなる増便とジェット燃料の需要増を見据えて、2025年度以降の中長期的な取り組みでは製油所や油槽所の既存タンクをジェット燃料タンクに転用するなどを検討し、供給力を確保する。ジェット燃料の生産や輸入が増加することを踏まえた計画的な設備投資が必要になる。
また、空港のジェット燃料タンクでも、容量を拡大して必要量を確保していく。ジェット燃料専用ローリーの追加導入や、船舶の大型化による輸送量の拡大、老朽化した荷役設備の更新による効率化なども進める。ローリーの乗務員や船員、給油員などサプライチェーンに携わる人員の確保では、処遇改善や労務負担軽減なども課題になるとしている。
今後はタスクフォースにおいて年4回程度、各空港の増便や新規就航の状況が改善しているかどうか、施策に基づいて確認していく。
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