レベル4の自動運転で空港内の貨物搬送、ANAと豊田自動織機:物流のスマート化
ANAと豊田自動織機は、羽田空港の制限区域において自動運転トーイングトラクターによる国内貨物の搬送の試験運用を実施する。
ANA(全日本空輸)と豊田自動織機は、羽田空港(東京国際空港)の制限区域において、2024年7月19日まで自動運転トーイングトラクターによる国内貨物の搬送の試験運用を実施する。試験運用は同年7月1日に開始しており、実用化に向けた技術面や運用面などの課題を洗い出す。経済性などの検証を踏まえ、2025年中の実用化を目指す。
試験運用はレベル4の自動運転で実施しており、「国内初」(ANAと豊田自動織機)だとしている。走行ルートは、国内線第2ターミナルの63、64、65番スポットと、東貨物上屋を結ぶ片道2kmのルートだ。多くの航空機や複数種類の空港支援車両が混在する羽田空港において、貨物コンテナをけん引した状態で安全かつスムーズにレベル4の自動運転が可能かどうか、検証する。駐機場内や貨物上屋前でのオペレーション上の課題も抽出する。
ANAと豊田自動織機は、レベル4の自動運転トーイングトラクターの実用化に向けて2019年2月から九州佐賀国際空港や中部国際空港、羽田空港において、実際の手荷物や貨物が搭載されたコンテナの搬送向けにレベル3の自動運転で実証実験を重ねてきた。
今回使用する自動運転トーイングトラクターは、空港内全域におけるさまざまな環境や条件の変化に対応できるよう、自己位置推定や障害物検知システムを高性能化、冗長化している。
運用面では、効率的なオペレーションを実現するため、駐機場や貨物エリアへの車両搬送指示や、現場スタッフの作業項目などの情報を一元化する「Fleet Management System(FMS)」を新開発した。また、異常時にも迅速に対応できるよう、車両の周囲の状況を把握する遠隔監視機能を搭載した。
FMSと自動運転トーイングトラクター1台が連携した試験運用により、将来的に多数の自動運転トーイングトラクターを導入することを見据えた課題を抽出していく。自動運転トーイングトラクターの実用化は、国土交通省 航空局による航空イノベーション推進の一環で、グランドハンドリング業務の人手不足や、今後の空港業務の持続的な発展に向けて取り組んでいる。
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